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カカシがダメな大人だって知ったとき、俺の中で、俺の優位は決定した。

だって、カカシは、凄くイイ奴なんだぜ。
優秀な暗部、手配書に載る凄腕の忍者、それなのに先生だなんて子守を拝命して、そいつも、あっさりこなしてしまう。
厳しくも優しい立派な先生だ。
明朗快活な性格で、18禁本というジョークも忘れない。
背も高いし、素顔も多分いい男、垂れているけど切れ長な目、と三拍子そろったところで、猫背を足して軽く外す。

完璧だ。

俺は心の中で大いに笑う。
そんなカカシが、ダメな大人だったなんて。
俺は自分の気が長いとは、もちろん微塵も思っていないが、あらゆる場面で、俯瞰して状況を見るだけの辛抱はするよ、当然。
でも、ある一点で、俺より堪え性のない人間なんて、初めて見たんだ。
もちろん、それはカカシの事だけど。

カカシは本当に我慢できないダメな大人なんだ。






そのカカシを、サスケは初めて見た気がした。
ベッドの上で、ちょっと身体を起こし、カーテン越しの淡い光を半身に受けて、不思議な表情をしている。
クールで、自分より絶対的に大人で、顔に貼り付いているのは、いつも呆れたような上から目線のはずなのに。

  「どうした?」

かろうじて、そう発することはできた。
カカシは応えない。
セックスの後は、サスケが感心するくらいスマートに、いつの間にかバスルームに消えて、気づくと、パジャマまできちんと着て、静かに寝ていたりする。
子供が曖昧な将来を描くように、ガキなサスケは、大人になれば誰もがカカシのように、いろんな事をスマートにこなせるようになるんだと思っていた。

  「・・・カカシ?」

再度の呼びかけに、カカシが少し身動ぎする。
でも、それだけで、姿勢と表情は変わらず、じっとサスケを見返すばかり。
思わず伸ばした手が、カカシの腕に触れる。
サスケの触れた指先を避けるように腕を引いたので、ムッとしたサスケは思い切りカカシの腕を掴んだ。

と。

カカシが苦しそうに眉間に皺を寄せ、不意を突かれた様な声を出した。

  「はっ・・・あ・・」
  「え??何?!」
  「な、なんでも・・・」
  「なんでもって・・・なんだよ?!」

煮え切らないカカシに乱暴に言葉をぶつけながら、サスケは、なんとなく何かが腑に落ちていく感覚を味わう。

  「カカシ・・」
  「ん?」

目の縁を苦しそうに歪めたまま、カカシがこちらを見た。
握ったカカシの腕が、ビクビクと震えていた。

  「もしかして、」
  「・・・うるさい」
  「なあ、アンタ、」
  「・・・・」

カカシが腕を振り切ろうとするが、サスケは許さない。

  「もしかして、まだ、足りない・・・のか?」

そんな質問にカカシが応えるわけがない。
力が緩んだサスケの手を振り払い、今にもベッドから降りようとしたので、その身体を抱き寄せて、ベッドに戻す。
カカシの喉からちょとだけ息が漏れて、ただそれだけのサスケの強引な動きに、カカシがもう、感じているのがわかった。

すげえ・・・

サスケは「欲しい」と言えないカカシの心中を察して、思い切りベッドに引き倒す。

  「あっ・・・んん・・・」

カカシが苦しそうに呻く。
なんだ、これ。
すげえな、大人って!!
さっきより立って見える乳首に触れる。
綺麗なピンクが、これまでないくらい、サスケを惹きつけた。

  「はあ・・やめて・・・」
  「え?だってしたいんだろ?」
  「くっ・・・」

くっ、だって。
なになに、なにかと闘ってんの?
サスケは、カカシの腕を寝具に押しつけて身体を押さえ込み、上からしばし眺めた。
じわじわくる優越感。
いつもの交合とはまた違う、それより一歩進んだ・・・・熟したような感覚。

  「サスケ・・・」

だから、カカシが低い声で呼んでいることに、一瞬気づかなかった。

  「サスケ・・・」
  「?!あ、なに?」

サスケが視線をカカシのそれにあわせると、またカカシは唇を軽く内側から噛んで、言葉を飲み込む。
最高だけど、面倒くせえ大人だよ。

サスケはもう硬くなっていた自身を、カカシのそれに擦りつける。
抑えているカカシの手首が大きく動こうとしてその腕の筋肉がグリと動いたが、そうはさせない。
自由にならない事に焦れたように、勢いよく顔を横に背けたカカシを、サスケは黙って見下ろす。形いい鼻の鼻腔が開いて、しばらく、何かが拮抗しているかのような間があったが、次の瞬間、カカシの方が陥落した。

顔をこちらに戻して、熱っぽい印象の目で、サスケをにらむ。
怒らせたのだろうかという一抹の不安は、すぐに消し飛び、それがカカシの余裕がない顔だとすぐわかった。
眉が微妙に歪み、プライドを捨てきれない懇願の表情だとわかったからだ。

  「お願い・・・・」

カカシが言う。唇が、これまた初めて見る生き物のように、可愛く、そう、可愛くそう言った。
サスケは、ん?とその先を促す。

  「・・・お願い」

何を、などと、そこまで意地悪くない。
これがカカシの精一杯であることは充分理解した。
サスケがカカシの手首を解放すると、それはノロノロとシーツと枕を掴んだ。
無意識に誘うように顎を上げて首を晒すので、素直にソコに舌を這わせる。

サスケは、腹の底から突き上げる驚喜と闘っていた。
クツクツと笑いそうになる。

すげえ・・・・
カカシにも、こんな堪えきれない衝動があるなんて。
俺にそれを晒して、しかもそれがカカシの本意じゃないなんて!!
こんな状況じゃなきゃ、カカシをガンガン言葉で嬲りたいところだ。
何が欲しいのか
どうして欲しいのか
どんな感じなのか・・・・
ああ、それをカカシに言わせてじっくり楽しみたい・・・

しかし、そんな妄想も今のこの状況には勝てない。
自分を欲しがる素直なカカシは、サスケの気持ちを最高に優しくしてしまうほど、愛しかったのだ。

初めて見るカカシの様子と
初めて湧き上がる自分の気持ち
苛めたい気分は、その延長にあって
次々立ち上がる新しい瞬間は、行為の最中に、新鮮だった


2015/08/25


続きます・・・・
これ、2013/01/13 に、イントロだけで途中放棄していたもの
無理矢理トロイPC動かして、再度、書き始めました
リハビリ兼ねていますが、リスタートでこんなHものとは(笑)
先生の素顔は、まあ、思うところもありますが、エナジー補給にもなりました