その空の下



アダルトビデオの知識が先なのか、自分の感覚が先なのか
そんな昔の話、もう今となっては思い出せないし、また、そんなこと、どうでもいい。
それなのに、身体の興奮とは裏腹に、頭はそういうことを考えたがる。
こんなビデオ・・・あったかな・・・・なんて。


床に座り込んで、ベッドを背もたれにして、下半身は素っ裸。
大きく足を広げて、目の前に鏡。
午後の日差しが部屋の奥まで射し、陰影が疲れた目に強烈だ。
鏡の向こうには、疲れた男。
ナルトが感極まって「先生・・・色っぽいってば」と言うほど、
この景色は、色っぽくもなんともない。


灰色の毛をかき上げて。
色素の薄いのはどうしようもない。
ナルトのモノの方が、色濃くてずっとエロチックだと思う。
アレが先端を濡らして、俺に迫ってくる様は、
・・・・・・ああ、思い出しただけでやばい・・・


自分で指をなめて、初めは一本舐めたけど、
ナルトのモノを思い出して、景気良く三本口に突っ込んだ。
俺、こんなにみっともない男じゃなかったのに。
口に指を突っ込んでいる顔は、知らない男の顔な気がした。


敏感な粘膜の上が、指の軌跡の通りに濡れていく。
それは自発的に唾液をたらす生暖かい舌じゃないから、
何度か往復するだけで乾いてしまう。
ベッドサイドに落としてあるジェルが頭をよぎるが、それだけだ。
やっぱり、ナルトの舌がいい。
どうして、こんなにみっともなく、彼が欲しい。


乾いて粘膜を引きつらせる指を、ちょっと強引に入れてみる。
なんだか怖い。
犯られることに慣れてるのに、自分ではビビッて入れられない。
第一関節だけで、俺はハアハア息をする。
怖くて。
決して感じて、ではなく。


こんな馬鹿な身体になるなんて思いもしなかった。
どっかの三文恋愛小説みたいに、たぶん「恋」っていうやつに狂うなんて。
この渇望は、もしかしたら、ナルトを手に入れても癒えないかもしれないって、
俺の幻術に苦しむ連中を見ながら、ホントは気づいてた。
そして、手に入れた今、それを身体に刻み込むほど思い知らされている。


ナルトに抱かれて、ナルトじゃなかったと気づく愚行。
でも、一度、彼に抱かれた身体は、ナルトを欲しがって。
俺は気が狂いそうだ。
身体と心のあべこべな要求に苦しんで、結果、俺は一人で自慰にふける。
前だけじゃ満足できなくて、
でも、ナルトがするように、上手に指を入れることも出来ない。
なにやってんだろ・・・・・・


彼のずっと向こうを見てるくせに、卑怯な俺は、でも、欲しい。
欲しいよ、ナルト。
俺の格好だけの障壁なんて乗り越えて、ホントは来て欲しい。
嫌がる俺の脳みそを押さえつけて、ホントは無理矢理やってほしい。
俺の過ちも、俺の鬱々とした時間も、欲しがってうるさい身体も、
無理矢理ねじ伏せて、犯してほしい。


そして俺に


言い訳をくれ。


お前が強引だったから・・・・


そんな、情けない言い訳をくれ。


もちろん、そんなこと、言えやしない。
わかってるから、
どうしようもないから、
独りの今はみっともない鏡の俺と話すだけ。
やっぱり色恋なんて柄じゃないことに、やっと気づいた俺と、
教えるだけで、何もくれなかった先生のことを。
この青い空の下。
凍えるような部屋に一人、時々手を動かして、時間を先に押しやるだけ。




2008.06.18



前サイトにアップしていたもの。
今回のアップは2013/01/13