鳴門の案山子総受文章サイト
「食べる前から涎だらけですね」
テンゾウの指が、そっと、そっと、粘膜の表面を撫でる。
・・・・って、ホント勘弁しろよ、その言い草。
でも、極力それは顔に出さないで、真面目に応える。
「ラムネに期待してるわけじゃない。これはお前の余韻」
俺の努めて冷静な声に、テンゾウの視線を感じる。
「俺も、かなり感じたから」
テンゾウが真顔になる。
結局、こうやって、いつまでも俺たちは「最初」の空気を引きずったまま。
テンゾウが纏う空気が、俺にもわかるくらい温度を上げて、その掠れた声が言う。
「じゃあ、これはデザートだ」
もう、手がつけられない。
俺も付き合うことにする。
でも、ふっと口をついて出た言葉が、
「痒くならないかな?」
だった。
テンゾウが真顔のまま、俺を見つめる。
「痒くても、痒くならなくても僕が舐めますから」
うわ・・・・・
「勘違いしてるでしょ。あなたの、じゃなくて、僕のデザートなんですよ?」
なるほど。
◇
テンゾウの指が、俺の身体に何か押し込む感触がする。
・・・・でも、それだけだ。
テンゾウが、俺の上になったまま、俺の顔を覗き込んだ。
その目が「どうです?」と言っている。
俺は首を振る。
何も感じない。
「ちゃんと入ってんのかなあ?」
吐息混じりに言うとテンゾウは、俺の両足首を掴んで、凄い体勢にしてくれる。
若干窮屈な感じは、繋がっているときの体位に似てて、俺のソコが瞬間的に充血するのを感じた。
いつもなら声を荒げて拒絶するけど、この隠微な食事に参加しているポジションは、俺からそんな上っ面を剥ぎ取る。
30歳の男にあるまじき開脚に、俺は盛大に赤面しただけだった。
その俺の羞恥に敏感に反応したテンゾウは、言うより先にソコに口付け、そのままの状態で、
「舐めていい?」
と言った。
俺の身体の中に、わけが解らない「人類愛」みたいのがわいてきて、こんな世界の隅っこで抱き合っている自分たちが、ちっぽけで、愛おしくなってくる。
敏感な粘膜に口付けたままこちらを見るテンゾウに至っては、グチャグチャにしたいほど、大事だった。
「もう、舐めてるでしょ」
俺の掠れた声に、彼は笑うと、
「舐めてません。舐めるってのは、こうです」
と言って・・・・・・・
・・・・俺を呻かせる。
鼻腔と喉から一緒に空気が漏れて、俺は自分が出している声なんか、聞いちゃいない。
「あ・・・・ああっ・・・・テ・・・あん・・・・っ・・」
テンゾウに触れられている部分が、全てビリビリして、それが一緒に波になって肌の上を走る。
・・・・・・・・・・・・・・・
途中です[2011.06.08-13]