鳴門の案山子総受文章サイト
まったく・・・・
だからイヤなんだ
頭の中でそう繰り返しながら、でも、こいつと対峙するときはいつもそのセリフが頭の中をグルグルすることに、もういい加減気づいている。
なんでだろう、と俺が自問自答しようとする、そのタイミングで
「だからさ」
とサスケが言葉で・・・・
そう、押してくる。
ぐいぐい・・・・
本当に、押される感じがする。
ああ・・・休日の真っ昼間に、シーツが白くて眩しい・・・
「見せて」
「何が『だから』、なんだよ?」
「さっきから言ってるだろ?好きだから」
「・・・・・」
「見たい」
「・・・・・」
ああ、もうっ!!
こいつのこの爽やかな強引さ、なんとかならないのか?
「お前さあ、もうやることやってるのに、何をいまさら・・・」
こんなセリフ言わざるを得ない自分が情けない・・・・
「だって、そんときは無我夢中だからな、じっくり見てるヒマがない」
じっくりって・・・
でも、無我夢中なんだ・・・・・
恥ずかしいけど、なんだか嬉しい俺も、終わってる・・・
◇
昨日、俺が地味な内勤で、サスケは体力は使うが簡単な任務で、先に帰っていたのはサスケ。
いつになくまったりして、寝たのは12時くらい。
なにも無く、普通の穏やかな睡眠時間を享受できたのだ。
が。
実際俺は、こいつとこういう時間を持てるようになったことに感動すらしていたんだ。
それなのに、いい加減起きなきゃと目を開けた俺に、
「なあ、」
「ん・・・?」
「見せて」
ときた。
つまり、俺の身体をじっくり観察したいんだと。
呆れる。
逆ならまだしも、だ。
しかもお前と全く同じ俺の身体をみたいだなんて・・・・
んで、現在に至る。
まあ10分くらいしか経ってないけど。
「アンタさ、自分で思うほど、自由じゃないな」
はああ???
「自分を卑下すんの、やめろよ」
卑下だとぉ?
「年齢とか立場とか、そういうのに縛られてるの、アンタの方だよね」
「貴様・・・・だって、せ、先生だったことには違いないからな・・・」
「くだらね。今時そんなの、刺激にすらならない」
唖然。
「先生だから好きになったんじゃねえし、ここで出会ったから好きになったんでもない」
ああ・・・はじまった・・・・
「俺は「アンタ」が好きなのに、「アンタの身体」が見たいのに、アンタはすぐに「先生」とか「30歳のおっさん」とか持ち出して、俺をどうかしようとするのな」
「だって事実だろ」
「はぁ・・・・それは、俺の髪が黒いとか、今日は晴れてるとか、そんなのと同じ事実だな、確かに」
サスケは腕に力を入れて、掛布団ごと俺を押さえつけた。
「でも、俺が金髪だろうと、今日が雨だろうと、アンタが先生だろうと、アンタが30越えてようと、」
「・・・・・・・」
「俺の気持ちには関係ねーな」
うわあ・・・・
言い負かされちゃったよ、俺。
そっか、俺の頭に中をぐるぐるする気持ちって、
コレなんだなあ・・・・
結局、俺に抗う術はない。
こと、俺とサスケの事に関しては、サスケが正しいんだから。
俺は「だからイヤなんだ」って言うしかないじゃないか・・・・
「な?見せて」
「で、でも・・・あ、明るすぎる・・・」
「最高!!」
ああ・・・・もう・・・・・
◇
俺はベッドの上で、窓を仰ぐ。
カーテンの隙間から冬の淡い空色が見えて、透明な太陽の光が、二人のバカを照らす。
休日の昼下がり・・・・
いまだベッドの中で、解剖されかかっている俺と、エロサスケ・・・・
「ちょ・・・手、どけて」
「っ・・・ば・・おま・・・」
毛布でしっかり確保した下半身を、引っぺがそうとサスケがジワジワと力を入れてくる。
昨夜、何もなかったから(笑)、俺は下着もパジャマもつけている。
「待てって!!脱げばいいんだろ?脱ぐよ、俺!」
「じゃあ、なんで抵抗するんだよ?!」
サスケの力は微塵も緩まず、俺もがっちりガードしたまま。
「お前が強引だからだろ!!手、放せっ!!自分で脱ぐからっ!」
「アンタさあ、わかってないよね」
「は?なんだよ!?」
「脱がすのだって楽しいんだぜ」
ああ・・・・変態・・・・
「抵抗してもしなくても、どっちでもいいよ」
「サ・・・サスケ・・・・」
「脱がせることに変わりないから」
・・・・・・・
「そんなふうにすぐムキになるとこ、愛しいな」
げっ・・・・素で言うか・・・
「もう、カワイイ・・・」
「あのさあ・・・普通にしようよ」
「そういうこと言うアンタ、凄くツボだ・・・・」
「なあ、サスケってば」
普通に説得しようとした俺の緩んだ手から、難なく毛布はすり抜ける。
「!!」
「俺を煽るなよ」
煽ってない!!!
サスケは抜き取った毛布を俺の上半身に押しつける。
「気分、盛り上がってきた」
「や、本気で恥ずかしいよ・・・」
「ほら・・・もう、そうやって煽る・・・」
サスケは身体を倒して、俺の首筋にキスしてきた。
サスケのアレが、熱と硬さを持って、俺のパジャマに触れる・・・・・
ああ、このまま普通に抱いてくれないかな・・・・・
「恥ずかしいんなら、この毛布被って」
やる気だよ。
ってか、頭隠して状態って、すっごく恥ずかしいだろ。
ますます、羞恥心アップさせてどうすんだっ!
「ほら、被って」
「や、お前、本気・・・・」
ボフッと、柔らかいパステルグリーンの毛布を被せられて、俺は観念する。
目を閉じても視界は明るくて、俺は大きく嘆息した。
まったく・・・・
だからイヤなんだ
をまた、無意識に繰り返していることにしばらく気づかなかった・・・・・