01 解剖した [サスカカ]


カカシの遅刻癖は、ほんとうはどうなんだろうといつも疑問に思う。
「墓参り」という過去との対話をしてるってのが真相だと、まあ、そこに落ち着きはしたが、毎朝、俺の横で、起こさない限り寝ているカカシを見ていると、「やっぱりただの寝坊だろ」と思わざるを得ない。
しかも、セックスをした次の日は、さらに「寝坊指数」が高まる。
べつに、俺が特別凄いとかじゃ、もちろんない。残念だけどな。

なんか、カカシって、セックスに対する基本数値みたいなものがあるとしたら、それが、すごくバラバラな印象なんだ。
女性からのウケは総じていいが、それはカカシの外見が優男で特に毒もない、というのが理由のようだ。実際、あまりモテているようではない。
ところが、男どものウケは、男同士の仲間意識からはちょっとズレた感じではあるが非常に良く、よく色っぽいちょっかいを受けている。ほとんどの連中は、どこかに必ず持っている同性嗜好をちょっと刺激されるくらいだが、一部のディープな奴は、マジで狙っているので気が抜けない。
そういう他の人間に放射する魅力がバラバラなのはまあ、特殊ではないが、こと、事に及ぶとなると・・・・・初めてのセックスみたいに俺は、ぎこちなくなる。
カカシだって男盛りだと思うんだが、あまり行為に積極的ではないのが、俺を戸惑わせる。
そのせいで、何度も抱いてるのに、この人の本当のところをなにも知ってないような、つきあい始めた時の空気をずっと引きずっているような、不思議な・・・・
そう、いつまでもときめいていられるような上向きな気分と、手応えの無いどこまでも続くような不安を、同時に感じている。

俺のことを大事に思ってくれているのはもちろん心底理解している。
でも、このフワフワした感じは・・・・・・





今日は二人そろって休日だ。
そろそろ日差しもジワジワと、温度を上げてきている。
昨日、ちょっとねちっこく抱いたせいか、カカシは起きる様子もない。
俺の方に顔を向けて、ちょっと唇が開いてる。
その端にツヤツヤとした涎が乗っていて、それを吸いたい気持ちと闘う。

なんて無防備なんだろう・・・・

実は、つきあい始めの頃、俺は何度も試したことがある。
そう、寝ているカカシを、だ。
ぐっすり眠り込んでいるところに殺気を放ってみたり、あとちょっと力を加えれば殺せるくらいに体勢を確保してみたり、暗殺の手技を寸止めしてみたり、いろいろ。
でもまず起きない。
しまいに俺も「今はこの人、マジでプライベートなんだな」と理解するに至ったが、これもまた、なんか俺には不思議なギャップ。

穏やかな日差しに溶けて、カカシはうっとりするような姿で寝ている。
俺にとってカカシはもう、本当に最高の恋人だ。
こんなに格好良くて、頭もよくて、部下思いで、上からも信用されている大人の男が、俺に抱かれて縋ってくるなんて・・・・
ちょっと興奮して、起きないこと前提で、俺は、そっとカカシの涎を吸った。
動く気配もない。

そうだ

俺の心は、急速にスケベな方向に滑っていく。
先日、エッチな要求を押しつけたはいいが、結局、単純性欲に負けてセックスに流れた俺は、今日こそ、その要求を実行しようと思いついた。
カカシに意識がないことは、抵抗が強いことをやらせてそれを楽しむという部分では残念だが、逆に、色々いいようにできるという限りない自由度がある。
俺はそっと身体を起こすと、ベッドの下の方に移動した。
もちろんカカシは起きない。
毛布を捲り上げる。
整った足の指があらわれて、俺は改めて感心する。
この人は、手の先や足の先まで美しい。
人間の先端には、その人の品性が表れるような気がして、俺は自分の嗜好の正しさを知る。
何もつけないで裸のまま寝てるから、寝具の下から、見事な曲線を持った引き締まった脹脛や、長い脛や、形良く張り出した踝や膝の骨が、昼の日差しの柔らかい陰影を伴ってあらわれて、俺を刺激して・・・

ついに、下半身全部があらわれる・・・・

うわあ・・・・すげえ興奮する・・・・

人体模型のサンプルみたいな身体だ。
腸骨が張り出していて、そこから滑らかに下腹に繋がっている。
太腿の影が濃くなるところから陰毛が生え始め、今は柔らかい性器が見える。
俺はそっと反対側・・・つまり後ろを見る。
もちろん避妊具を使うから、俺の情けない残滓を見る可能性はないが、数時間前に愛し尽くしたそこが、今はどうなっているかの興味は、バカな俺の息を簡単に荒げた。
ゆで卵なんて比較にならないくらい肌触りのいい尻。
俺は、もう、端から見たら変態そのものの格好で、カカシの尻に食いついている・・・
いいさ、変態で。
カカシに変態な俺、万歳!!
と、カカシが寒さを感じたらしく、ぐっと両膝を折って丸まるような姿勢になった。
おお、見やすくなった(笑)
高くなり始めた太陽光線は、臀部の滑らかな陰影を作りそのラインを俺は感嘆して見る。

どうしてこんなに綺麗なんだろ・・・・

尾骨から、そっと指を下ろしていく。
寝呆けているカカシは動かない。
指はそのまま下がって・・・・・

ああ・・・愛しい・・・

明るい影の中に、俺しか知らないカカシの大事なトコ
半透明な人間の皮膚は、皮下に流れる毛細血管の色を映して、そこは象牙色の肌の色にピンクを乗せた、色っぽい景色になっていた。
そっと力を加えて、さらに割れ目をくつろげる。
正しく刻まれた皺の中心が、数ミリ口を開けていて、昨夜の行為を色濃く残している。

たまんねえ

昨日もココに入れたんだよなあ。
俺が思わず表面を撫でると、僅かにカカシのソコが反応する。
カカシは決して行為に積極的ではないが、でも絶対俺を拒絶しない。
興奮に任せて焦って入れる指も、ちゃんと受け止める。
あの柔らかい感触・・・・
俺を飲み込んで、やんわり締め付けてくるカカシ・・・・

おっと
思わず指、入れちゃった・・・・
はっ
俺は慌ててカカシの顔の方を見る。

カカシは首を起こしてこちらを見ていた。ただ、その表情は、状況を把握していない人の真顔だ。
  「サスケ?」
  「あ、あの・・・」
  「何してん・・・・え?!」
動こうとして、やっと自分の下半身の状況を悟ったらしい。
俺の指先が、軽く締め付けられる。
  「うわああ!!」
カカシは今まで俺が聞いたことの無いような声をあげて、右足を蹴り出した。
もちろん蹴られやしない。
でも、慌ててベッドから降りた俺の右手の指は、それでもカカシに入ったままで、驚き呆れた、このときのカカシの表情は、今思い出しても、俺の胸を抉る。
  「お前ってさ」
抜けよ、と言いながらカカシが言う。
俺の指は、暖かい体内から抜ける。
  「俺が思ってる以上に変態なんだな」
なんか・・・
しばらく勃たないくらい、傷ついた・・・・・
ま、ホントなんだけど。
変態万歳!!!


2011/01/23