きっと優しい休みの日 3




玄関から物音がする。
横になって、でもギンギンに目を覚ましている俺の耳元を、入り込んだ外気が撫でていく。
ガサガサと、買い物の音がして、微かにテーブルに置かれた音がする。
先生が買い物だなんて、可愛いなあ・・・・
また、「かわいい」か。
もう、いいよ自分、それで。
ベッドに潜り込んだ俺に、なにか話しかけてくれるだろうと、先生の気配を背に狸寝入りを決め込んだが、一向に話しかけてくる様子がない。
  「なあ、先生、」
と、痺れを切らして寝返ると、

そこには誰もいなかった。

  「なっ・・・」
俺は飛び起きる。
と、テーブルに置いてある俺のエコバッグにのけぞった。
ビールや乾き物が詰まっている。
ちゃんと冷蔵庫の上にあるエコバッグに気づいてくれたのね・・・・
っていうか、
  「帰っちゃったのかよ、先生!!」
なんだよ、なんだよ・・・・・
買い物の内容からして、俺が重傷であるという認識がないのは、まあ、いいが、帰っちゃうってどうよ?
ベッドに寝てるってのが、
  「あからさますぎた?」
へへへと笑って見たが、まあ、俺が寝てるってことで、静かに帰ってくれたってことだよね・・・・
すっごい取り返しがつかない感・・・・
俺は、パジャマの上に薄いジャンパーを羽織ると、そのまま外に飛び出した。





先生のアパートは知ってる。
どんな帰り方してるか知らないが(空中走ってるかも、だろ?)、俺の部屋に来たとき、フツーに歩いてたから、俺も、フツーに走って距離を縮める。
何度か雪に足を取られ、何度かは手をついて、曲がり角をドリフトで攻めて、先生のアパートに着いた。
数歩で、階段を上がり、ノックもしないで、ドアをあける。
  「せんせっ・・・!!」
思いっきりノブを引いたら、バウンっと手応え無く180度開ききって・・・・・
  「あれ?」
先生は帰っていなかった・・・・
  「途中で抜かしちゃった?」
いや、いなかったよなあ・・・・
俺は力なく階段を降りる。
しらけた音がカンカンと響き、急に寒さを感じた俺は、襟をかき合わせ、ブルッと震えた。


自分のアパートに帰りついた俺は、今度こそ仰天した。
  「ナルト。お前さあ、なんなの?」
先生は俺の部屋にいた・・・・ええええ???
  「せ、せせ、先生っ!!!どこ行ってたってば?」
  「買い物でしょ」
  「荷物だけ置いて、いなくなっただろ?」
  「お前の牛乳買い忘れたから、もう一回コンビニに行ったんだよ」
あ、ああ・・・・・
俺の盛大なクシャミに、先生はちょっと動揺して「大丈夫か?」と言った。


 


2010.02.19./06.28.