きっと優しい休みの日 2




  「外と同じじゃん、この部屋」
  「え?」
  「寒いよ(笑)」
あ、ゴメン、と慌てて暖房のスイッチを入れる。
電熱線の焦げる匂いがして、その、小さな生活の匂いは、なんだか先生と俺を近づけてくれるような気がした。
  「ずっとこんなに寒い中にいたのか?」
そんな他愛ない気遣いも、俺を微笑ませる。
  「ベッドの中だったからね・・・・」
  「ああ・・・」
先生が頷いて、俺の乱れたベッドを見る。
その横顔に、だれか別な人を見ているような遠い錯覚を感じて、俺は意味もなく髪を掻き上げた。

ぶうんと暖房の静かな音がして。

冷たい空気の中の会話は、途切れそうで、その沈黙が意味ありげになりそうで、俺は動悸をリアルに感じていたけど、会話は穏やかに繋がった。
  「俺、なんか買って来てやろうか?」
先生は、そんなことを言って、俺は理解できずにその顔を見る。
  「は?なんかって・・・なに?」
  「だって今日、正月だよ?見たところ、なんにもないよね」
  「ああ・・・・お互い様だろ、先生と同じ独身だもん」
  「まあな。でも、外行くの、まだ無理だろ?」
先生が、指で来た方を指す。
火影主催の新年バカ騒ぎ会場の方だ。
つまり、まだみんなと飲めないだろ?ということらしい。
身体の方はもう何ともなかったが、俺は先生と二人きりでいたかった。
それを正直に表明して・・・・大丈夫なような、気がしていたが、言わなかった。
  「うん・・・まだゆっくりしたいな」
  「だろ?だから、俺がなんか喰うモノ買って来てやるって」
  「う・・・あ、ああ。ありがと・・・」
戸惑いがちな俺のセリフなんて聞いてない。
背の高い先生は、数歩であっという間に玄関に行き、そのまま静かに出て行った。
  「・・・うわあ・・・」
俺の喉から息が漏れる。
  「なんか、なんだろ、緊張する・・・」

そりゃ、好きだからだろ。
でも、うわ、俺、どうにかなるんじゃないかって・・・
思ってるみたい・・・・

アホか。
イチャパラ読むような人のベクトルが、男ってことはないよなあ。
しかも、部下。
しかも、俺が、抱く方。
・・・・
・・・・
やばい。
興奮してきた。

ぼやぼやしてっと、帰って来るぞ・・・
それまでに、なんとかしなきゃ・・・
って、どうしよう?

きわどいことも考えたが、いろいろ、無理に決まってる。
結果、俺は、きわめて凡庸な行動に出た。

つまり。

ベッドに戻って、寝ちまったのである。



2010.02.19.