15 無理矢理「食べさせる」4 [イルカカ]


先生が俺に入ってきて、そこからジワジワと広がっていく感覚に、俺は耐えきれず喘いだ。
 「あっ・・・はあぁ・・」
先生がじっと俺を見下ろしているのがわかる。
俺の感じている様子が先生を上げる事を知っているので、先生が望むように、多少の演技を混ぜてしまうけど、それは同時に俺も上げる。
先生が身体を倒して、俺の耳に口づけるように言った。
 「カカシさん、痛くないです?」
大丈夫、と言おうとして、声が掠れる。そんな俺をいたわりながら、先生が動く。
 「んっ・・・あ・・」
互いの粘膜が接触する音だけが大きく聞こえて、俺は羞恥で感じてしまう。
 「エッチな音、してますね」
音に加えて、あのイルカ先生がそんなことを喋るんだということに、俺はさらに感じる。
 「や・・・せんせ・・ああっ・・」
 「かわいいっ・・」
動きながら、先生が自分に言うように言う。
落ち着く場所を求めて動いた俺の手が、先生の脇腹に触れて、やっぱり痩せてしまっているのを知る。
でも、それは一瞬の思考で、俺はすぐに先生に揺り動かされて、暖かな室内の空気に沈んだ・・・・



町外れの店で野菜を買っていた俺に、サクラが声をかけてきた。
 「先生!お買い物ですか?」
 「あ、サクラ」
サクラが俺の側に来て、俺の手元を見る。
 「先生がお料理するのね?」
その表情は嬉しそうだ。俺と先生の関係に夢を抱いているサクラが可愛い。
 「イルカ先生の方が上手だよ」
 「ふふふ・・・そういうトコもいい感じ」
よくわからない。
 「あ、そうそう、先生、その後、イルカ先生とはどうなんですか?」
 「うん、先生とは、上手くいってる」
 「でも、顔、痩せてたような?」
 「うん・・・また、痩せてた」
サクラが目をちょっと大きくして俺を見上げた。
 「身体も?」
 「うん、身体も」
言ってから、それが意味することに思い至って、俺は赤面する。
サクラが嬉しそうに笑っていた。
 「サクラ!おまえさあ・・・」
サクラは笑って俺の腕に触る。
 「先生たち、ホントに仲がいいんですね」
 「なんだよ、それ」
 「やることやってる(笑)」
もう、ホント怖い・・・・
 「で、サクラはリサーチしてくれたの?」
 「もちろん!」
買い物を終えた俺と並んで歩きながら、サクラが俺と腕を組む。
 「で?先生は何で食べないの?」
 「答えはすっごく簡単です」
 「なに?」
 「カカシ先生にいつまでも格好良く思われたいんですって」
 「え?」
どういうこと?ってか、もろに先生に聞いただけじゃないの・・・
立ち止まりかける俺を、強引に歩かせて、
 「先生、鈍い!ダイエットじゃないですか!」
と言った。
 「あ・・・ダイエット・・?」
そう、と言って、サクラが俺の腕を放す。 
 「カカシ先生の事、一途でかわいいと思ってきましたけど、イルカ先生もいじらしくて、私、しばらくイルカ先生の方を応援することにしました」
・・・は?
 「あの、サクラ、俺と先生は、その付き合ってて、どっちを応援するとか・・・」
 「いいんです。じゃあ、先生、さようなら!」
・・・え?
女の子が考えることってわかりにくい・・・・
俺はサクラの後ろ姿を見送りながら、彼女の言ったことを心で反芻していた。
ダイエット!
イルカ先生が、俺のためにダイエットだって?!
全然太ってないのに。
全部引き受けると言って、俺の左目にキスしてくれたクセに。
 「俺だって、先生だから、全部好きなのに」
俺はUターンする。
野菜ラーメンを作ってあげようと思ってたけど、これは、がっつり肉を食わせてやる。
肉屋を目指して、自然に笑みが浮かぶ。
ただ、今の俺は、どう転んでも幸せのまっただ中だった。

2016/02/13