聖夜 1 [ナルト]




人間に例外なんてないんだな、と思う。

汚い大人だとか、大人の都合だとか、自分はとにかくああはならないぞと決意し、それよりなによりなるわけがないとか、なりようがないとすら思っていたのに。
気づくと、明快な理屈だけでは動けなくなっている自分がいる。
そして、時折触れ合う幼い子供達のストレートな言動に、心底揺さぶられてしまうくらい驚いてしまうのだ。
結局、例外なんてない、と、この頃は本当にそう思う。
人は誰しも、営々と繋がったサンプル通りに、
生まれ、
成長し、
老いる。
今は理解できない老人らのスタイルも、やがて自分のそれになる・・・・・





猛烈に押しまくり、それでもやっぱりおちてくれない。
カカシ先生は、今日も曖昧に笑ったまま、両手の平をこちらにむけて、しかし、きっちり拒絶する、俺を。
  「お前の事は好きだよ」
  「・・・・何度も聞いたよ」
  「でも、お前の望む好きじゃないよ」
  「それも聞いた」
  「じゃあ、俺はもう、話すことはないよ」
  「・・・・・・」
  「ごめんな、ナルト」
最後の先生の謝罪のセリフで、いつも頭をかきむしりたくなる。
つまり、丁寧な決定打。
そんな印象が脳内を滅茶苦茶に駆け回るからだ。
丁寧に、きっちり拒絶かあ。
ああ。
柔らかいんだか、きついんだか、掴みきれない中途半端な思い、印象、心、空気、なんかそういう色々が、でも逆に俺をなんとなく立たせていた。

あさっては、クリスマス。
一ヶ月前からのカウントダウンだけじゃなく、それよりも前からお祭り騒ぎのスイッチが入る前倒しな傾向の近頃だが、それでも二日前には二日前なりの深度が加わるから不思議だ。
年末近づく気ぜわしさの中に、このイベントの雪に包まれた暖かな感触は、確実に世間に広がっている。
前の日はいくらなんでも急すぎるだろうという、変に冷静で気恥ずかしい計算の結果の「二日前」に、ダメモトで、俺は先生にアタック。
ああ、そういや、大切なのはイブのほうだった、と気づきながら、撃沈する。

綿のように降り積もった雪の上をしっかり踏みしめて歩いてみる。
もう、すっかり日は暮れて、雪が光源のように淡く辺りを明るくしている。
俺は、賑やかな街の中心を避けて、寂しい道を選んで進む。
時々、静かなほの明るい窓に、家庭用の小さなカラフルなツリーの電飾がチラチラ映えているのが見えたりして、そのハッとする素朴な美しさは、何より心臓にギュッときた。
今のこの瞬間も、遠い未来には懐かしい一コマになるのだろうと、それはもちろん根拠もなく理解しているが、でも、とにかくどうしようもなく切ない。
 「ちょっかい出してきたのは先生なのに」
そう言って俺は立ち止まる。
大粒の雪がゆっくり舞い落ちて、俺の鼻先で冷たく溶けた。


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2011/12/25