05 無理矢理「妄想させる」 ナルトに




最近、俺が夢中になっている事がある。
それはもちろん、俺の一番大事な部分の話で。
今、俺は、真剣に、それのためだけに生きている!!!





任務と任務の間にできた小休止。
暦の上では春だけど、この里はまだ冬の天下だ。
カタカタとうるさい薄い窓ガラスの外は、木枯らしが地面を這うように吹いて、見ているだけで寒くなる。
俺は、待機所のストーブのぎりぎりにまで近づいた。
  「ナルト!焦げるわよ」
サクラちゃんがやってきて、あまり心配していない口調で、挨拶みたいに言った。
  「サクラちゃんは元気だね」
  「元気にふるまってるだけよ。社会人のマナーよね」
  「ふ~ん・・・」
  「ほら、そんなこといいから、これ」
サクラちゃんがストライプのファイルを差し出す。
それは、緑や青やピンクのいろんな色のストライプで彩られた数冊の写真のファイル。
  「あ、サンキュ」
  「でも、どうしたの、急に?」
  「ははは、まあ、俺も過去を振り返るくらいの大人になったってことかな」
  「ふうん・・・これ、アンタ用に焼いたものだから、あげる」
  「ありがとう。本当にサクラちゃんは優しくて気が利くってば」
  「ふふふ。それはお世辞にもならないわよ、ナルト」
  「そ・・・そう?」
  「ただの事実だもの。じゃあね」
さすがだよ、我らが女神は、ほんと・・・・敵わない。
サクラちゃんの後ろ姿を見送ると、俺はファイルを背嚢に入れる。
あと1時間で次の任務。現地集合。
そしてお楽しみは、
  「明日!!」
今、俺は最強で、木枯らしすら口笛の伴奏だ。
行ってきます!!と待機所にいた、顔も知らない後輩に声をかけた。

で。
任務でそれなりのダメージを受けた俺は、ファイルの存在を支えにして帰宅した。
薄暗くて寒い部屋に入る。
すぐに写真を見ればいいのに、わざと自分におあずけをする。
そんな自分がイヤらしくて、ちょっと鬱るが、楽しみを最大限に味わうためには、そんなこと気にしてはイケナイ。
  「さてと」
俺は、風呂に入って、傷の手当てをして、メシを食って、それから・・・・
  「うわあ、やることてんこ盛り!(喜)」
一人でウキウキしている、俺、ナルト、18歳・・・・・
一応、火影候補・・・・





さて。
すべて、人としての生活習慣をつつがなく終わらせた俺は、ベッドの上で、ファイルを開く。
最近の俺は、この瞬間のために生きていると言っても過言ではない。
期待させて悪いが、そこに並んでいるのは、なんら特別な写真じゃない。
俺たちがアカデミー生だった頃から、カカシ班に配属された頃までの、スナップ写真だ。
俺自身も、もちろん何枚か持っていたのだが、整理好きとはほど遠い俺の「過去」は数枚で。
それらを調べ尽くし、使い尽くした俺は、自分の中の「もっと!!!!」という欲望を九尾以上に持てあました。
で、思いついたのはサクラちゃん。
サクラちゃんに頼んだところ、なんと、ほとんど撮影した物は網羅されていて、そのお宝状態に俺が興奮したのは言うまでもない。
カカシ班の写真はおいておいて、俺はまず、アカデミー時代の写真を調べはじめた。

ほとんどは、クラスメートや、当時の先生たちとのスナップで、特に俺の目を惹くモノは無い。
が、中には、あるのだ。
そう、写輪眼のカカシが写っているお宝が!!!!
先生はもちろん当時暗部で、その活動は秘密だが、里の有名人ではあったので、たまに見かけることはあった。
だから、時々、過去の写真にひょっこり写っていることがある。
俺は震える指先で、写真をめくっていく。
  「お」
俺の目は、中程の一枚に釘付けになる。
イルカ先生や、アスマ先生、紅先生と一緒に、カカシ先生が写ってる!!!
しかも、はっきり!!!
  「うおおお・・・・・すげえ、興奮する・・・・」
彼らの足下に、俺やサクラちゃん、サスケやイノが一緒に写っていた。
サクラちゃんの髪型から、これは、俺らが8才の時だ。
  「ぶっ・・・・やべえ」
い、今から、10・・・・10年前!!!!
先生は、22歳!!!!
今の俺とそんなにかわらねえ・・・・・・
俺はベッドの上で、端から見たら「変態認定」を確実にされる風で、悶えまくった。
そう、さっきサラリと流したが、俺はカカシ先生の写真を「使って」いるのだ。
それもただのスナップを、だ。

ことの始まりは、数ヶ月前のある日、先生の古い本に、栞代わりに挟まっていた先生の若い頃の写真を見つけたことだ。
先生は、なんでも無いように
  「どれ、見せて。・・・ああ、たしか18歳くらい」
と言った。
ただ、それだけの事だったんだが、なんか・・・・・
ものすごい衝撃だった。
人生の時間の尺なんて、ただズレて存在してるだけなんだ、と強烈に感じた。
先生の18歳と俺の18歳。
  「お前も18だよね?同じくらいの時だよ」
写真の先生は、目の前の先生と明らかに同一人物だが、その腕の筋肉とか、マスクをずらしてこっちを見ている顔の質感とか、もう、空気が俺と同じ。
時間がずれていたら、この人は俺の友達で・・・・・
とにかく、そのときの俺は、脳みそに手を突っ込まれて思いっきり掻き回されてしまったみたいだった。
今回、新しくゲットした写真の先生も、今の俺とほとんど変らない若さで、その無造作な感じのする態度が、若い先生の秘密を垣間見たようで、ドキドキする。
しかも、18年間生きてきた俺には、「18年間の記憶」という最強のスパイスがある!!
この写真を撮ったときのことをゆっくり思い出すんだ。
写真を見ながら、ゆっくり。
  「ああ・・・・」
カカシ先生・・・・
あのとき、俺は、22歳の先生と一緒だった。
俺は知ってる。
22歳だった、先生を・・・・
暗部にいて、俺と同じ若さと迷いの中にいて、でも、当時の俺にはずっと大人に見えた、22歳の先生を・・・・
俺は知ってるんだ。
んで、俺の下半身はもちろん立派に反応する。
殺伐とした記憶の中から、先生の匂いを思い出そうと、必死になって。
俺は欲張りなのかもしれないと思う。
今の先生だけじゃなく、
いままで先生が生きてきた時間すべてを、
感じたいんだ・・・・

そう。
ぶっちゃけ、俺は先生の昔の写真でオ○ニーしてる。
もちろん先生には言えない・・・





言い忘れたけど、今の32歳の先生は、もう、しっかり俺のモノだ。
もちろん、今も先生はカッコイイ。
年齢を感じさせるどころか、かえって若さの持つネガティブな部分が一切なくなって、爽やかで、何にも粘着しないで、若さ溢れる風貌と、年相応の落ち着きが加わって・・・・
つまり、俺にとっての完璧に近くなってきているが、でも、ときどき漏れ聞く先生の若い頃の無茶とか、人間として甘かったことなんかを知るたびに、俺の下半身はもの凄く反応する。

とまあ、しばらくは、秘かな俺のお楽しみは平和に続いていたのだが、ちょっとしたはずみに、この俺のアブノーマルな妄想が、ついに先生に知られてしまって、ちょっと険悪な空気になってしまった。
先生は、
  「別にいいけど、若い男にも興味あるのか?」
とか言っちゃって。
若い男って言ったって、全部、アンタじゃねーかよ。
もう、それだけで、俺が感じまくってるの、この人、わかんねえんだろうなあ。
  「違うよ。隙のある先生がたまんねーの」
  「は?隙?」
そう、と俺は、先生をベッドに押し倒す。
  「隙ってなんだ?」
  「普段は完璧なのに、馬鹿な嫉妬しちゃうとことかだよ」
  「嫉妬?俺が?」
  「はははは・・・先生だって、妄想するだろ?」
  「何が!」
  「俺、もうすぐ火影だぜ?」
先生の顔は、俺の影になっていたが、俺のセリフに反応したのはわかった。
  「それがどうした」
口ではそう言いながら、先生の顔は赤くなってきていて。
  「先生だって、俺の中にいろんな俺を見てる・・・ハズ」
  「お前ぇ・・・・」
  「小さかった可愛い俺とか、元気で生意気な俺、」
  「やめろって!!」
  「んで、火影な俺だ・・・」
俺は、先生を押さえつけてキスをする。
抵抗しながら、でも、先生だって感じてる。
俺を突き放すなんて、できない・・・・
  「先生も、妄想してよ」
  「妄想って・・・お前・・・」
  「どんな俺がいい?アカデミーのガキみたいな俺に、やられたい?」
  「ナルトぉ・・・」
  「大人になった火影のチンポがいい?」
  「俺はどっちも嫌だっ!!」
おっと。
先生が反撃する。
「妄想」のノルマがあるんだけどなあ・・・・意外に手強い。
  「先生、したくないの?」
露骨な俺に、でも、先生は真面目な顔で、
  「俺は、今のお前がいいよ」
とのたまった・・・・
やるなあ、先生。不意打ちを食らった俺は、ちょっと感動した。
  「先生・・・・」
カカシ先生は、俺の首に腕を回すと、俺をじっと見上げる。
 
 「ナルト、俺は、今のお前のチンポが欲しい」

ひいーーーっ・・・
さすがだよ・・・・先生

でも、俺は股間を充血させて、あの、22歳の先生を思い出す。
あの、若くて初々しい先生が、32歳になって、18歳の俺に「お前のチンポが欲しい」って言うんだ・・・・
そう思ったら、また二重に萌えた。

  「22歳の先生に、18歳の俺を捧げる」
  「なに、馬鹿なこといってんだよっ!!!」

結局、この妄想癖は、まだまだ俺を解放してくんないんだね!!


2011/02/06



ノルマ達成ならず。
ナルトの妄想だった・・・・・