鳴門の案山子総受文章サイト
「ナルト!!聞けっ!!!」
思いっきり叫んでこっちに飛んでくるサスケに、俺はもう何も感じなかった。
本をお読みになった皆さんはご存じだろうが、もう、行き着くところまで行ってしまった俺たちなんだ。
いまさら、サスケが崩壊してようと、変態木遁が何をほざこうと、サクラちゃんが恐怖政治をおこなおうと、先生とは名ばかりの萌えおっさんどもが多数いようと、そんなこと、俺たちの今までの「恥ずかしい妄想の数々」の前には、なんの問題でもない。
一族の一大事があろうと、死闘の最中であろうと、こうして、何かあるとすっ飛んでくるサスケなんか、もう、いっそ、清々しい。
「おい、この本だけどさ」
ん?
・・・・・お前、まだそんな本、大事に読んでるのか・・・
サスケの手には、ボロボロになった「議事録」が2冊握られている。
「サスケ、お前に羞恥心がないということはよくわかった」
「なんだよ、それ」
「そんな猥褻なモノを、むき出しで持ち歩くなんてな。せめてエコバッグに入れておけよ」
「はあ?エコバッグだと?」
「木の葉でも似非エコに取り組むべきだろ、だまされる純情な人もまだいるだろうしな」
「問題発言ストップ!!」
サスケは大仰に俺を止めると、言い聞かせるように言った。
「おい、ウスラトンカチが。神聖な妄想の場を、くだらねぇ発言で汚すな!!どっかの新聞にでも投稿しやがれ」
まあ、それには同意なので、俺は頷く。
「んで、なんだよ、慌てて」
「おっと、そうだ。ちょっと『妄想』についてさ、お前と話をしようと・・・」
おい。
俺だって暇じゃねえんだ。
あっち(週刊誌)じゃ、木ノ葉、超一大事なんだぞ。
ま、こっち(ラブリハ)じゃ、緊張感はないけどな。
「そういうときは、相手の都合を伺うモンだ」
「うるせえよ」
一蹴。
「俺さあ、他の奴らの妄想とか読んでて、フッと思ったんだ」
妄想ごときで何を思ったんだ?
「妄想って何なんだろうなって」
・・・・・・
・・・・・・
サスケよ。
分数の割り算はな、ひっくり返してかけるんだ。
そこに理由などない。
「カカシの事が好きなら、アタックあるのみ、だろ?」
・・・・まあな。
「俺なら、多分、OKだろう?」
いいなあ、その自信。
「妄想の必要、なくね?」
「まあ、その自信は置いておいて。拒絶されたら?」
「犯す」
・・・・・犯罪だな。先生相手に可能かどうかは別として。
「本物に勝る妄想はないよな?」
サスケ。
脳が沸いてるよ。
それは逆だよね。
妄想に勝るリアルはないよ、多分。
俺は言い聞かせるように言う。
「サスケよ。お前、チラリズムとか、理解してねえわけないよな?」
「あ?チラリズム?・・・・ああ、わかるよ」
「ならどうして?妄想vsリアルなんて勝負の必要すらない」
「・・・・・」
「どうしちまったんだ、一体?」
サスケが押し黙る。
なるほど・・・・なんか、問題が発生したんだな?
「言ってみろよ」
「う・・ああ・・・」
サスケは鼻の先を掻いて、逡巡している。その染まった頬は、女の子達がみたら、悲鳴を上げるくらいの破壊力はあるに違いない。ときどき俺ですら、見とれちゃうもんな。
かっこいいです、サスケくん。
「俺、もう、妄想・・・できねえかも・・」
は?
「どういうこと?」
サスケはますます赤面して、俺の視線を避ける勢いだ。
「もう言っちまうけど・・・」
サスケがこっちを見る。その眼光は鋭くて、でも、必死な様はエロティックで。
ナル+サス(リバ)もいいかなあと思ったことは内緒だ。
「・・・デートした」
・・・?
「カカシと」
え?!
何だって?
俺の手は、いつの間にかサスケの胸ぐらを掴んでいた。綺麗な顔が歪むくらい締め付ける。
「おい。なに抜け駆けしてくれちゃってんの?」
「ナルトっ・・・離せっ・・・」
おっと・・・つい。
俺は手を放し、サスケをにらみつけた。
「俺だって好きなんだ。ちょっとは遠慮しろよ」
「はああ・・・苦しかった。お前ですらコレだもんな」
「何が?」
「変態木遁に知られたら、俺ですら瞬殺だな」
ちゃんと見抜いてるじゃねえか。
俺は内心爆笑していたが、真面目なサスケにあわせて頷いた。
「まあいいや。で、その内容は教えてくれるんだろうな」
「もちろん。そのために来たんだ。お前に助けてもらおうと思って」
「え?助ける?」
そうなんだ、と俺をすがるように見るサスケに、モヤモヤしたものを感じながら、俺はサスケを促した。
「先週の金曜日にさ・・・」
さっそく、その具体的な感じ、ツボ。
そして、サスケが話し始めた・・・・