聖夜 7 [ナルト]



寒いのに頬は燃えるようで、俺は無意識に自身の頬に触れる・・・
小屋の静かな空間の中にいるのに、雪原に満ちるシンとした音が聞こえて、先生の存在に集中しながら、俺はその雑音を聞いている・・・

先生の舌が俺を捉えて、それ自体で会話する生き物みたいに雄弁に動き、むず痒いような皮膚を突き破りそうで破らない隠微な快感が、そんなことで発生することを初めて知った。
俺の舌を吸うのは先生なのに、先生自身の鼻腔から漏れる息が柔らかくなっていく。
先生の発するオーラのような熱量が、俺にも心地よく、甘く、いい匂いすらしてくるようで、

ああ、こうやって、互いに気持ち良くなっていくんだ・・・・

そう理解してしまえば、ただただ、自分の欲を解放するだけだった今までのセックスが、記憶の中であっさり色を失った。

「ナルト」

息継ぎの間にそうつぶやく先生に、俺の股間は激しく反応する。
硬度を増したそれに気づいた先生は、ちょっとひるんで

「俺、仕事、ね、手加減、して」

と、俺をなだめようとして、幼児みたいに助詞を抜いた言葉を繰り出す。
無理を言うと俺は思い、実際、先生の懇願なんか、その声の色以外聞いてなかった。
互いに舐め尽くしても、俺はそれで我慢できない。

「加減、するってば、だから・・・・ね」

俺の言葉もたどたどしく、忙しいキスの合間に漏れる。
でも、言葉の表現とは裏腹に、欲望の意志は強く強引で、先生にそれは確実に伝わっていた。

「うん」

先生は、そう静かに頷くと、ゆっくり俺に体重を預けてくる。

ああ、ああ、もう、痺れる・・・・

身体の中を滅茶苦茶にエネルギーが跳躍して、皮膚一枚でそれを俺は必死に制御する。
先生が、愛しくて、愛しくて、以前はある程度分けて意識できた性欲と情感が、今は互いを食い合って、愛しさの表出がこの若い勃起だとしても、俺はそれが正しいと感じていた。
脳裏には、去年のあの日の先生の情景。
それは、俺の網膜の上で、今見ている先生とシンクロする。

「せんせ、うしろ向いて」

ただ、先導するのは、今は俺だった。
先生の身体を返す間も、首筋にキスをしながら、愛撫を続ける。
一時も、愛する行為を中断したくなく、手があと2本は欲しいと、ちょっと九喇嘛のことが頭を掠めた。

「先生、無理させない、けど、辛かったらごめん」

共に冷たい板張りの床に膝をつきながら、先生の額当てを外す。
先生が顔をちょっと上向け、外す流れを手伝った。
キスで濡れた唇と通った鼻筋に、戸外の雪の明かりが届き、俺は急に恥ずかしくなる。
先生を・・・・
脱がせば、ただの若い男に違いない先生を、ここで抱くんだ・・・・
それは、俺の先生で、

「ナルト」

こんなにいい男で、写輪眼が片目にはいってて、

「いいよ、俺も欲しい・・から」

ああ、こんな事を言って、言わせて、

「ああ・・・先生・・・」
「ん?」
「すげーー、愛してる」

思いっきり抱きしめたいのに、俺の両腕は、ビリビリ痺れていて、興奮しすぎている身体に、呆れて驚く。

「ナルト」
「ああ」
「今のそれ、」
「うん?」
「俺の中でもう一回、言って」

死ぬ

興奮しすぎて一度のろくなった血流が、チャクラが回復する時みたいに、一気に生き返る。
その勢いはあまりに凄くて、本当に死んでしまうかのようだった。

2015/12/19



【終わり】