鳴門の案山子総受文章サイト
夢を見た。
カカシ先生が、低脳な敵にいいようにされそうになっている夢だ。
そうだよ、俺にとっての先生は、そういう存在だ。
もちろん、女性のことは大好きだし、純粋に愛せる。
でも、俺の愛は、もっとこう、でかいんだ。
男で中年(?)の先生も愛せるほどね。
でも、なぜか、どうしてか・・・・
先生に関して俺は、いろんなオプションをつけてしまう。
いじめたい・・・のかなあ?
それに、先生に対する俺の愛は、いつも夢の中で展開する。
というか、夢の中でしか展開しない。
起きているときは、
メシを食ってても、
トイレにいても、
出勤途中でも、
任務についていても、
みんなで馬鹿話していても、
先生への愛を意識することはないのに。
俺自身にもわからないいくつかの疑問を抱えたまま、
昨夜も俺は先生の夢を見た。
顔のよく見えない、(俺にとって)都合よく記号化された敵忍が、先生を脅している。
あんなに強い先生が、何故か、いいように後ろ手に縛られて床に座っているんだ。
初めは任務絡みの話だったらしいが、額当てを取ってそれが「写輪眼のカカシ」とわかると、一種独特の空気が流れる。
先生は有名なんだ。
「この銀髪は、やっぱそうか」
馬鹿の一人が先生の髪を掴んで、マスクを下ろした。
賞金首に単純に喜んだ連中も、先生の美形ぶりに、ちょっと気色ばむ。
こうなるともう、ダメだ。
俺の夢は、簡単に「そっち」方向に転がりはじめる。
「随分と綺麗な顔だな?」
詰まるような空気を破って一人が言う。
一度、緊張の均衡が破られれば、もう、簡単に行き着くところに行ってしまう。
連中の意図を察してか知らずか、先生はなんの反応もしない。
その敵に対しては無表情な感じが、いつもの朗らかな先生とは別人の様で、正直に言うと、賊なんかより夢を見てる俺の方がよっぽど興奮していたと言っても過言ではない。
「脱がせようぜ」
ああ、はじまった。ホント、お前ら、ゲスだなあ~~
あの先生を、同意も無しに無理矢理剥くなんて、なんてこと言うんだ!!
そこが、俺の嗜好と違う!
本気で嫌がってる先生なんて、ダメだよ、全然おもしろくない!!
・・・・・あれ?
俺、今、「おもしろくない」って言っちゃった?ははは・・・
もういいよ、ぶっちゃけるとさ、先生の奥にあって、表に出てこない同意をだなあ・・・
あ。
マジで脱がされた。
ホント先生、全然反応しないな。嫌がると余計、煽るからかな?
でも、先生がそんなこと気にするかな?
あ、綺麗なお尻。
ただでさえお宝なのに、薄汚いアジトのせいで、もう天井知らずのエロさだよ、もう。
床にうつぶせにされて、先生がちょっと苦しそうに、床に押しつけられた顔を上げる。
その視線が、なぜか傍観者の俺を捉え、途端に「夢」の画像が一気にリアルになった。
ナルト、とその目が言っている。
捻った姿勢のせいで、俺の視覚には先生の綺麗な顔と滑らかな背中とエロいお尻がセットになって見えている。
賊の一人が、そのエロいモノを鷲づかみ。
先生の滑らかな皮膚は、賊のごつい指すら柔らかく受け止めて、馬鹿が、涎を啜る勢いで、先生のそこを割り開いた。
うぐっ・・・・
なんだ、この強烈な心臓の痛みは!!
ああ、こんな事なら!!
・・・こんな事なら?
そうだよ。
これは、嫉妬だ。俺は、先生を自分のモノにしたいんだ!
あんな連中になんか、渡したくないっ!!!!
「せんせーーーっ!!!」
おい、と肩を叩かれて。
ハッと起きると、シュラフの中。
「は?あれ?え?」
目の前には、胡散臭い覆面の先生がいた。
「大丈夫か?凄い声で叫んでたぞ」
ひえええ・・・・先生と連泊の任務中だった。
こんな時に、よりによってなんでこんな夢・・・・・
しかも、シュラフははっきりその一部を盛り上げていた。
ホントにやめて、俺・・・
「俺、そんなにお前の事、厳しくしてないよ?」
ん?
そうか。先生は、俺の叫び声をそんなふうに受け取ってくれたらしい。
「いや・・・ごめん、カカシ先生」
俺は頭を掻いて、起き上がる。そろそろ夜が明ける頃だ。
二人とも無言で準備を整える。
俺は何度も横目で先生を見た。
さっきの夢の中の先生を、そのまま目の前の先生に重ねようとしてみたが、うまくいかない。
現実の先生は、どこまでいっても男に違いないし、俺の夢みたいにエロくもない。
それなのに、なんで俺は先生の、それもエッチな夢ばかり見てしまうのか・・・・・
「なんだよ、ナルト。言いたいことでもあるのか?」
俺のチラ見に、先生が嘆息する。
「あ、いや、えっと・・・・」
「?」
「先生はやっぱ、かっこいいなと思って・・・・はは・・・」
先生は立ち上がると、
「お前だって結構、気持ち悪いこと、言うじゃない」
と、いつかの仕返しみたいなセリフを吐いた。
「ははは・・・本気なのに」
俺も立ち上がりながら、言葉を半ば飲み込むようにして言う。
それは確かに先生に聞こえたはずなのに、落ちなかったギャグみたいに、朝の空気に収束した。
駆け足で道を行きながら、俺はもう、今夜の夢の事を考えている。
続きが展開したらどうしよう、もう、ごまかせねえぞ、という危機感と、
夢でもいいから、先生を所有したいというちっぽけな欲望が、俺の中をグルグルして。
それが俺の走るスピードに拍車をかけるのを、先生が不思議そうに見ていた。
[おわる]