先生と過ごす 3



高い所にあった日は、今は45度くらいに傾いていた。
先生と俺は、暖かいベンチに座ったまま。
ただ、今は・・・・・

先生の説明に、うんうん頷く、仲睦まじい男二人になっていた。
  「そうか。ツンデレってそういう意味ね」
  「そう」
  「じゃあ、この女の子のっていうくだりは?」
  「・・・・ああ、それ・・・」
先生が口ごもり、年齢不相応のその可愛い様に、俺は悶える。
なんで俺は、今まで、この人の、この魅力に気がつかなかったんだろう。
こんなに、カッコよくて、可愛くて、愛おしくて。
と、同時に、こんな魅力的な依頼をしてきた過去の女の子に感謝・・・・
と、憎しみ。
  「でも、先生」
  「ん?」
  「俺とだけじゃないんだよな?」
先生はいよいよ赤くなり、それは、肯定以外の何ものでもないように見えた。
俺は、顔を背けた先生の両肩を掴み、こっちを向かせる。
くっそおおおお・・・・
すげえいい男。
このままキスしたい感じだったが、我慢して訴える。
  「先生ってばよ!!」
  「おまえさ・・・」
  「なんだよ?」
  「それ、嫉妬?」
今度は俺が赤面する番だった。
う~ん、確かに。
紛れもない、嫉妬だな、コレ。
  「ふん。多分、そうだ・・・・」
  「へえ~、俺のこと好きなんだ」
う、うるせえ・・・
  「す、好きだったら、どうした」
意味のない反撃。
  「だったら、シカマルに感謝してよ」
は?シカマル?
  「こんな依頼、初めてだよ、俺も」
  「え?だって、今までにいろんな奴と・・・」
  「ここまで要求してるのは、初めてだって言ってるの」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
すげえ、幸せ・・・・・

つまり、俺の認識にはなかったが、俺が先生の事を好きなのは、態度にモロ出しだったようだ。結果、シカマルなりに、考えてくれていたらしい。
ただ、先生は人気者で依頼が殺到していたので、里の財政上、当たり障りのない依頼をふっていたようだ。
  「そうだったんだ・・・・」
  「お前さあ、俺のこと見くびってるよね」
  「え?」
  「俺が、他の奴との依頼を受けると思ってたんだろう?」
  「う、や・・・まあ」
でも、俺だって、先生のことを好きだって認識したのは、さっきだし。
そもそも、依頼の「意味」すらわからなかったし。すでに、隠語だろ、あれ。
  「でも、俺とだったら、依頼、受けてくれるんだろ?」
  「・・・・・」
先生は、声は出さなかったが、僅かに頷いた。
ああ・・・・なんだよ、この人!!
たまらなく愛おしい・・・・
あ、でも、
  「じゃあ、なんであんなに不機嫌だったんだよ!!」
  「バカ、ナルト。説明したろ?」
  「は?」
  「だから、ツンデレ」
う~~ん、奥が深い。
  「俺は、ツンデレより『デレデレ』がいいよ」
  「ははっ、まんまじゃないか」
  「教えてよ」
  「何を?」
  「女の子の先生ってやつ」
  「いいよ・・・」
先生、可愛すぎるよ・・・・
俺の人生に、こんなにすばらしい瞬間があったなんて、なあ。
昔の俺に教えてあげたい。
腐るんじゃない、きっと、最高な時間は来るよって。





  「あのさあ・・・・」
火影室で、俺はシカマルの説教を聞いている。説教と言うよりは愚痴。
  「なんで、こんな使えないモン、持ってくんだよ」
  「使えないって・・・依頼通りだろ!!」
  「ど真ん中すぎるよ、バカめ」
カメラ回しっぱなしで、いちゃついたんだが、どうもそれがまずかったらしい。
  「多くの依頼を無駄なくこなすには、全年齢対象でなきゃダメなんだよ!!」
シカマルがドンと、俺の机を叩いた。
  「それなのに、これじゃあ、ただのエロビデオだろがっ!!」
  「な、なんだよ、その言い方っ!!仕方なく、見せたのに。お前になんか見せたくなかったよ、先生の可愛いトコ!!」
  「き、き、気持ちわりいんだよっ!!」
  「どこがっ!!あの先生のどこがキモいんだよ!!」
  「先生じゃねえよ、お前の盲目ぶりがキモいんだよ!!」
  「じゃあ、先生はOKだな。お前もイケる?」
  「・・・・うるせえ」
ほんとバカだ、手がつけられねえ、とか捨て台詞を吐いて、シカマル退場。
バカはお前だ。
これからいくらでも全年齢対象の依頼、こなしてやるよ。

というわけで、もうちょっと待っててね。
御依頼の皆様。



・・・・・・・・・・・・・・・
2012/12/15  余力あれば続ける。っていうか、ごく普通の先生にならなかった(笑)。ノーマルじゃないですね、これじゃ。