鳴門の案山子総受文章サイト
高い所にあった日は、今は45度くらいに傾いていた。
先生と俺は、暖かいベンチに座ったまま。
ただ、今は・・・・・
先生の説明に、うんうん頷く、仲睦まじい男二人になっていた。
「そうか。ツンデレってそういう意味ね」
「そう」
「じゃあ、この女の子のっていうくだりは?」
「・・・・ああ、それ・・・」
先生が口ごもり、年齢不相応のその可愛い様に、俺は悶える。
なんで俺は、今まで、この人の、この魅力に気がつかなかったんだろう。
こんなに、カッコよくて、可愛くて、愛おしくて。
と、同時に、こんな魅力的な依頼をしてきた過去の女の子に感謝・・・・
と、憎しみ。
「でも、先生」
「ん?」
「俺とだけじゃないんだよな?」
先生はいよいよ赤くなり、それは、肯定以外の何ものでもないように見えた。
俺は、顔を背けた先生の両肩を掴み、こっちを向かせる。
くっそおおおお・・・・
すげえいい男。
このままキスしたい感じだったが、我慢して訴える。
「先生ってばよ!!」
「おまえさ・・・」
「なんだよ?」
「それ、嫉妬?」
今度は俺が赤面する番だった。
う~ん、確かに。
紛れもない、嫉妬だな、コレ。
「ふん。多分、そうだ・・・・」
「へえ~、俺のこと好きなんだ」
う、うるせえ・・・
「す、好きだったら、どうした」
意味のない反撃。
「だったら、シカマルに感謝してよ」
は?シカマル?
「こんな依頼、初めてだよ、俺も」
「え?だって、今までにいろんな奴と・・・」
「ここまで要求してるのは、初めてだって言ってるの」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
すげえ、幸せ・・・・・
つまり、俺の認識にはなかったが、俺が先生の事を好きなのは、態度にモロ出しだったようだ。結果、シカマルなりに、考えてくれていたらしい。
ただ、先生は人気者で依頼が殺到していたので、里の財政上、当たり障りのない依頼をふっていたようだ。
「そうだったんだ・・・・」
「お前さあ、俺のこと見くびってるよね」
「え?」
「俺が、他の奴との依頼を受けると思ってたんだろう?」
「う、や・・・まあ」
でも、俺だって、先生のことを好きだって認識したのは、さっきだし。
そもそも、依頼の「意味」すらわからなかったし。すでに、隠語だろ、あれ。
「でも、俺とだったら、依頼、受けてくれるんだろ?」
「・・・・・」
先生は、声は出さなかったが、僅かに頷いた。
ああ・・・・なんだよ、この人!!
たまらなく愛おしい・・・・
あ、でも、
「じゃあ、なんであんなに不機嫌だったんだよ!!」
「バカ、ナルト。説明したろ?」
「は?」
「だから、ツンデレ」
う~~ん、奥が深い。
「俺は、ツンデレより『デレデレ』がいいよ」
「ははっ、まんまじゃないか」
「教えてよ」
「何を?」
「女の子の先生ってやつ」
「いいよ・・・」
先生、可愛すぎるよ・・・・
俺の人生に、こんなにすばらしい瞬間があったなんて、なあ。
昔の俺に教えてあげたい。
腐るんじゃない、きっと、最高な時間は来るよって。
☆
「あのさあ・・・・」
火影室で、俺はシカマルの説教を聞いている。説教と言うよりは愚痴。
「なんで、こんな使えないモン、持ってくんだよ」
「使えないって・・・依頼通りだろ!!」
「ど真ん中すぎるよ、バカめ」
カメラ回しっぱなしで、いちゃついたんだが、どうもそれがまずかったらしい。
「多くの依頼を無駄なくこなすには、全年齢対象でなきゃダメなんだよ!!」
シカマルがドンと、俺の机を叩いた。
「それなのに、これじゃあ、ただのエロビデオだろがっ!!」
「な、なんだよ、その言い方っ!!仕方なく、見せたのに。お前になんか見せたくなかったよ、先生の可愛いトコ!!」
「き、き、気持ちわりいんだよっ!!」
「どこがっ!!あの先生のどこがキモいんだよ!!」
「先生じゃねえよ、お前の盲目ぶりがキモいんだよ!!」
「じゃあ、先生はOKだな。お前もイケる?」
「・・・・うるせえ」
ほんとバカだ、手がつけられねえ、とか捨て台詞を吐いて、シカマル退場。
バカはお前だ。
これからいくらでも全年齢対象の依頼、こなしてやるよ。
というわけで、もうちょっと待っててね。
御依頼の皆様。
・・・・・・・・・・・・・・・
2012/12/15 余力あれば続ける。っていうか、ごく普通の先生にならなかった(笑)。ノーマルじゃないですね、これじゃ。