月影で 1




[ ご注意 ] ナル→カカ←テンのギャグです。さらに、ヤマカカ「時間」が前振りになっています。




明日からが、ナルトの訓練初日だというのに、なかなか寝付かれなかった。
責任の重さがその原因なら、僕はとっくに辞退してる。
だいたい、そんなことに臆する自分じゃないし。
自信のあるなしじゃない。命ぜられたからやるだけ。
そのくらいの自覚はある。


  「結局・・・」


あの男だ。
はたけかかし。


  「抱きに来たんじゃないの、だと?」
ふざけたこと、ぬかしやがって。
おかげで・・・そのおかげで、僕は・・・・・
今夜も一睡もできないんです!!!


・・・・・・・・


久しぶりに、宿舎の一室に戻った。
暗部のときは極秘の根城も、一般の宮仕えともなればちゃんと宿舎住まいになる。
一般住宅を借り上げてもらうこともあるが、自分の腹積もりでは、すぐに暗部にもどる予定だ。
別に、こだわりも無い。
で、そのオンボロ宿舎のがたつくドアを蹴り開けて、僕は寝られぬまま、外に出た。



物凄い月明かり。
自分の影が、深い闇に見える。
闇の中にはあのときの先輩の白い身体。
ほんと、やな先輩だ。
あの日以来、僕は、悶絶している。
そう!!苦しんでいるんだ。
突然の出来事に、僕はあろうことか、「そんな関係でしたっけ」などと、すかした返事をしてしまった。
なぜあの時、持てるすべての力を振り絞って、「そのとーり!!」と言えなかったのか・・・
僕は、物凄い間違いを犯したのではないのか・・・・
暗部の飲み会で、酔って記憶が無いままに裸踊りをしたときより、後悔している。
いや、後から三代目も見ていたと知って、かな~りブルー入ったな、そういえば。
・・・・・(残酷な回想)・・・・・
や、そんなことは・・・重大ではあるが、今はいい。
そう、先輩だ。
カカシ先輩・・・・
  「まいすいーとはにー」
・・・へ?今の発言、僕?
やっべー、メチャクチャやばい。僕のあたま・・・



深夜の町は、とても静かだ。
里も不景気で、一時はにぎやかだった飲み屋街も、一部を除いてホントに静かになってしまった。
ゆっくり川縁を歩く。
微かに小川の流れる音がする。
僕の足は、ぶらぶらと、しかし確実に、あるポイントに向かっていた。
そう。
カカシ先輩の家。
先輩は何を考えているんだか、借り上げのアパートに住んでいる。
暗部に戻る気は無かったのかな・・・・
その考えは、なんとなく不愉快で、僕は石を蹴り上げた。
込み入った住宅街に入る。
あの角を曲がれば、右手のアパートの三階に・・・あ・・・もう明かりが消えている。

んんーーーっ!!???

感じるのは明らかなる複数の人間の気配。
カカシ先輩!!
退院したばっかりだってのに、もう、複数の人間を!!?
僕は、慌てて三階に飛び上がる。
ドアの向こうから、笑い声が聞こえてくる。
くっそーーー!!
思いっきりドアをノックしようとしたとき、ドアの表札が目に入った。

  「佐藤」

え?
・・・・そうだった。
引っ越したって言ってたな。
おっちょこちょいだな~僕。
突っ込んでたらしゃれんならん・・・ははは・・

でも、佐藤さん、暗闇で複数で、なにやってんだろう???




2008.02.03.