原色 4




  「なんだろ・・・強い雨でもきそうな感じね」
外の風の音はますます強く、カカシの古いアパートは、かすかに軋む音すらさせる。
いつの間にか部屋の空気は、戸外と対照的なものになりつつあった。
外が寒いなら、暖かく。
外が暗いなら、ほの明るく。
外が昨日までの無邪気な色なら、今、室内は・・・・
カカシの忍服のズボンに手をかければ、わずかに腰をねじって、その動きを助ける。
もう、とっくに、後戻りできないところまで、来ていた。
  「ふふふ・・」
戯れて笑う恋人みたいに、サクラが笑う。
一気にそれを引き下ろして、ベッドの下に落とした。
  「サクラ・・」
カカシがその手を伸ばしてサクラの上体を抱こうとしたが、サクラは笑ってカカシをベッドに押し返した。
戸惑うようなカカシの目が、ロウソクの明かりでオレンジに見える銀髪の下から覗く。
  「任務の時、これで大丈夫なの?」
サクラがトランクスの端をつまんで、カカシに微笑んだ。
おそらく思いがけない質問に、カカシの頬がわずかに染まる。
  「・・・今日はオフだから」
ちょっとの沈黙の後、律儀に応えて、目をそらす。
サクラは嬉しくてたまらないといったような声で、
  「じゃあ、任務の時は何なのよ?」
と言った。
サクラの指が、カカシの下着をゆっくり下に引く。
ゴムが伸びて、引き締まった下腹部が覗き、カカシはなんのアクションもしない。
さらにゴムは引き伸ばされ、平たい腹に、カカシの陰毛が見えた。
色素の淡いそれは、暗い影のなかに光る繊維みたいにキラキラしている。
  「ねえ、せんせぇ」
せんせい
せんせい
呼ぶな、といえば、あえてゆっくり「せんせぇ」と言う。
その肩書きに、実は屈辱を感じていて、そして今は、そのままカカシの性感を刺激していることを、サクラは知っていた。
  「自分で脱げる?」
カカシがわずかに動揺する。
サクラに遮られた明かりの影で、その目を大きく見開いて、サクラの表情を読もうとしていた。

ナルトを煙に巻くような、そんな曖昧な手は、私には通用しないのよ。

カカシの手が、自身の下着にかかる。
その手がゆっくりと下着を下ろすのを、サクラは見た。
もう立ち上がっているペニスが、現れる。
サクラが笑った。
  「先生ったら、エッチねー(笑)」
サクラのセリフに、カカシが「はっ」と小さく息を吐いた。
サクラはベッドの下に膝をつく。
身体を、カカシの足の間に入れて、全部見える状態だった。
カカシは抵抗しない。
外は激しい風なのに、ロウソクの炎はゆっくりと揺れ、殺風景な壁に、サクラの大きな影をうつした。
静かな呼吸音が聞こえてくる。
  「先生が・・・愛されるの?」
勃起して、腹の方に倒れているペニスに左手を添えたまま、その下を見る。
カカシが小さく「うん」と言ったが、聞かなくても、カカシがネコであることはわかっていた。
じゃなきゃわたしが、こんなに執着するわけない。
  「足・・・上げて?」
そして、カカシは、驚くほど従順だった。
素直に足を上げ、かかとでベッドの端を踏んだ。
静かにそこだけスプリングが沈む。
膝を立てさせて、もうすべてが眼前にあった。
ロウソクの炎が揺れて、サクラの影がカカシの上に映る。
  「ナルトにどんなこと、されたの?」
そのセリフで、カカシの背筋に軽い衝撃が走る。サクラの言葉でつけられる傷は、痛みの中に快感を伴っていた。
  「・・サクラ・・・」
顎を引いて自分の足の間にいるサクラを見る。
深い色の陰影が、サクラを、知らない女の顔に仕立てていた。
カカシの視線にサクラが微笑む。
その顔に、サスケが好きだったころの幼いサクラの片鱗をやっと見つけて、カカシの芯が熱くなった。
  「ここに入れられたんでしょ?」
さくらの手が、そっと滑るように臀部の肌に触れた。軽く中心を広げられる。
  「・・サクラ・・」
カカシの発声は、乾いた喉を低く震わせ、もうハスキーなそれは、もしかしたら泣いているみたいに聞こえた。
  「ホントに・・・」
そう言いながらサクラが、立てられたカカシの右足を、外側に倒す。
充血しきった生殖器が弾むように揺れ、チロチロ燃えるロウソクの火が、カカシの奥を照らした。
  「ダメな先生よね」
笑む唇から発せられる、優しい声音の残酷なセリフに、カカシの性器が明らかに反応した。




2008.05.13 / 06.20. / 09.18.