妄想自慢 10


先生の秘密 その3 [テンゾウ×カカシ]

 

[6]


  「ちゃんと穴はあるんでしょうね?」
隠微な結界のせいか、真面目で堅いテンゾウまでもが、平気でそう言うことを口走る。
サクラがうふんと笑って、
  「隊長、確かめてみたら?」
と言う。
  「勝手に見ろよっ!!指、入れたいんだろっ!!!」
カカシが、はねつけるような勢いで、許可する。その、ちぐはぐな態度に、でもテンゾウはひるまない。
  「経血の出血があるなら、多分、膣もあるんでしょうね」
  「なんだよ、その言い方!!かえっていやらしい」
  「正確に言ってるだけじゃないですか」
  「エッチなテンゾウ!!医学書とか見て興奮してるタイプだろっ!!」
テンゾウの顔色が変わる。地雷だったらしい。
  「先輩・・・・」
呻(うめ)くように言うと、いきなり両手で、バキバキッと木遁を破壊した。
  「ひっ!!!!」
カカシが怯える。サクラも慌てて、テンゾウの腕を押さえた。
  「隊長!!」
  「大丈夫だよ、サクラ」
テンゾウは、カカシの足首を掴んで、サクラに言う。
  「乱暴なことはしないから」
木遁は、カカシの上体だけを抑えるように組み直されて、カカシの足は自由になっている。蹴り上げればいいようなものだが、相手は、ついこの間まで、暗部№1のテンゾウである。術が使えなくても、体術だけで十分実力者のカカシだが、相手がテンゾウだとそうもいかない。純粋に筋力だけだと、かなわない。カカシは、足をガッとつかまれ、両膝を身体に押しつけられる。
  「あ、やっ!!やだっ!!」
カカシが嫌がって叫ぶ。サクラも赤面する。カカシの秘部は、部屋の照明の下で全開、丸見えの状態になった。男性器は腹の方に垂れ下がり、女性器が上を向いて開いている。
  「先輩、酷いことはしませんから」
もうカカシは、言葉も返せない。興奮のせいか、わずかに涙すら浮かべて、テンゾウを見上げた。
  「かわいい・・・・カカシ先輩・・・」
  「だから、その認識・・・・間違ってるよ・・・・」
カカシの太腿が重力に従って落ち、膝が開いて肩口についている。そのせいで、女性器はテンゾウの目の前にあった。テンゾウは、カカシの姿勢を固定したまま、それに触れる。
  「あ・・・・んんっ・・・ふ・・・」
カカシが息を吐いた。テンゾウは、そっと襞を押し広げ、膣があることを確認する。泣きそうな、複雑な表情のカカシと、その部分のセットの眺めは、こらえきれない衝動をテンゾウにもたらした。
  「・・・・やばい。マジ、かわいい・・・」
テンゾウは指でカカシを刺激する。大陰唇は充血しきって盛り上がり、内側の襞も、熱く熱を持ちテンゾウの指をはじく。
  「ああっ・・・・んうう・・・・あっ・・・・」
もう、カカシも、声を抑えられなかった。
  『うっわ~凄いわ・・・・』
サクラがかぶりつきで二人を見ている。ちょっとした劇場小屋の様相を呈してきた。
テンゾウの指が、カカシの陰裂に沿って、上下する。そのたびに、溶けるように柔らかくなった襞は、テンゾウの指をその間に飲み込み、あふれ出る体液で、派手な音を立てた。
カカシが眉間に皺を寄せて、鼻から声を出す。
  「あっ、あっ・・・テンゾ・・・いいい・・」
エッチな音が響いて、サクラもちょっとハアハアした。
  「熱い・・・先輩のココ・・・・」
  「あああ・・・いやだ・・・・あ、あ・・イク・・・・」
  「イキそうですか?」
  「あ、ああん、あああ、イクっ・・・・イクよっ・・ああっ・・・」
テンゾウが、襞をかき分け、カカシのクリトリスを剥き出した。横から見ていたサクラにもはっきりわかるほど、肉芽は真っ赤になっていた。陰部を開いて固定したまま、テンゾウが、陰裂全体を唇でふさいで愛撫した。舌はきっと、突起を刺激しているに違いない。
  「ひっ!!」
声にならない声を上げて、カカシが痙攣する。足の筋肉が引きつっていた。
  「はあああ、はああ・・・・・ああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
ビクビクと、足や腰を痙攣させて、肩で息をしている。
  『・・・・・・イッたのね?』
テンゾウが唇を離す。愛液がテンゾウの唇を濡らし、カカシのそこに垂れ落ちる・・・・・
サクラがカカシの髪を撫でた。カカシの身体は、まだちょっとビクビク震えていて、それが髪に触れるサクラにも伝わってくる。テンゾウじゃないけど、カカシに対して、愛しい感情が湧いてきた。あの写輪眼のカカシでも、イク時は、身体のコントロールもできないし、痙攣もする。
サクラが深呼吸した。思いっきり心で叫ぶ。
 『萌えーーっ!!!』
激しいチャクラのうねりに、テンゾウが「?」とこちらを見た。
サクラは、カカシの顔をのぞき込む。
  「先生・・・・大丈夫?」
カカシが、まだ整わない息で、サクラを見る。
額に汗が浮いて、頬が上気している。銀髪が一筋、汗で額に貼り付いていた。
微かに、カカシが「うん・・・大丈夫」と言った。
サクラが嘆息する。
こんなに色っぽい男は、本当に初めてだった。
  「先輩、感じてくれました?」
カカシがちょっとだけ微笑んで、テンゾウを見る。
  「・・・・お前、上手だよ・・・」
  「・・・・・・・」
テンゾウが絶句している。
最初にあれだけ拒否られたし、しかも半ば強引な成り行きでいじったものだから、こんな感想をもらえるなんて思いもしなかったのだろう。
  「こんなに早くいかされるとは思わなかったよ」
テンゾウの左の鼻の穴から、赤い一筋が垂れ落ちた。サクラが唖然とその様を見た。
  『興奮して鼻血出すベタな人、初めて見た』
テンゾウは鼻出血をものともせず、カカシの下半身を下ろし、
  「先輩、もう入れてもいいですか?」
と言った。カカシは、チラとサクラを見たが、視線をテンゾウに戻して頷く。
  「いいよ」
そして、一呼吸おいて付け足した。
  「テンゾウの好きにしていい」
  「先輩・・・・」
今度は、テンゾウの右の鼻腔から、血が落ちる。その間が抜けたアクセントに、サクラが吹き出したが、テンゾウは気がつかない。
  「ココで止められたら、俺が我慢できない、きっと」
テンゾウは、カカシの身体を拘束している木遁を取り去った。
カカシはもう抵抗しない。
テンゾウが、カカシの上に覆い被さって、キスをした。カカシの腕がテンゾウの背にまわる。
キスはとっても優しく丁寧で、サクラは盛大に赤面した。
  『キャーーーーー、なにこれ!!見てていいのかしら!!(喜)』
テンゾウが、下半身を、カカシの足の間に割り込ませている。カカシの唇を吸いながら、右手はカカシの股間に伸びていた。一度イカされたカカシのそこは、綺麗な花弁(はなびら)みたいに濡れて、緩(ゆる)くほころんでいた。花弁をかき分け、テンゾウは、カカシの膣に、中指をゆっくり抜き差ししている。カカシがちょっと痛そうに身をよじった。
  『先生、処女ってことになるのかしら?』
テンゾウが少し奥までその指を差し込むと、カカシが唇を堅く結んだ。身体の強張りが、テンゾウにも伝わる。
  「痛い?先輩」
  「ちょっと・・・・痛い・・・・」
テンゾウが、もの凄く愛おしげな目で、カカシを見た。
  「痛くしないように時間かけます・・・・」
カカシも熱に冒されたような潤んだ目でテンゾウを見上げた。テンゾウが、またカカシに口付ける。キスの音をさせて、もうそれは前儀だった。
思わず見とれていたサクラだったが、ハッと我に返る。
カカシは綺麗で、テンゾウは格好良かったが、客観的評価は、二人のおっさんに過ぎない。
  『許されるのかしら、映像的に・・・・』
っていうか、許されるかされないかがわからないくらい、この世界に没入している自分が、ちょっと怖くなったサクラである。
  「もう、いいよ、俺、欲しい・・・・」
  「カカシさん・・・・・」
おっさんどもは、完全に二人の世界に埋没している。サクラの存在を、すっかり忘れてしまっているらしい。
  『この二人に感じてる私って、世間的にオーケー?』
いやいやいや!!!
なによ、私!!
自分の趣向に怯えるなんて・・・・・・
なんてエキセントリックな趣味なのかしら。
  『あ~、自分の幅広いストライクゾーンが怖いわ』
天井を見上げてうっとりしているサクラに、カカシが声をかける。
  「サクラ・・・」
  「・・・・・・・・」
  「サクラってば」
  「え?あ、ああ、ごめんなさい、先生。なに?」
カカシがこちらを見ている。
  「ホント綺麗なオジサンね」
  「?」
テンゾウがその首筋を甘噛みしている。
  『隊長のエッチは情熱的なのね。隊長らしいわ~』
噛まれたことのないサクラはちょっとその激しさがうらやましかった。
  「どうしたの、先生?」
  「俺の身体、セックスしても大丈夫・・・・かな?」
  「あ、ああ・・・」
  「外性器はちゃんとしてるけど・・・・」
サクラはにっこり笑う。
  「大丈夫よ、先生。さっきの私の術、何の抵抗もなく発動したから」
  「あ、ああ・・・」
  「あの術がかかるということは、少なくとも先生のおなかの中も女の子よ」
テンゾウが反応する。
  「じゃあ、ホントに、先輩を抱いていいんだね?」
テンゾウの両手がカカシの尻を掴む。
  「んぁ・・・」
カカシの腰をそのまま抱え上げ、自分のペニスを掴んで、カカシの花に押しつけた。カカシが、「は・・・・んっ・・・」と反応する。花弁が開いて、テンゾウの先端をわずかに飲み込む。
きつい抵抗を感じたが、テンゾウは、


「ちょっと待てっ!!!」


一同、一斉に声のした方を見た。
サスケだ!!
サスケがブルブル震えて、ヤマト隊長をにらんでいる。
隊長の妄想から一気にリアルに戻された。強制終了である。
  「それ以上やったら、殺す」
突然のことに、隊長も、すぐには反応できなかった。
サクラちゃんが、やっと反応する。
  「サ・・・サスケくん・・・・・・」
  「カカシのバージンをお前なんかに汚されてたまるか」
自分を取り戻した隊長が教壇をゆっくりと降りる。
ううう・・・・・恐怖の支配の顔してるってば・・・・素で怖いんですけど・・・・・
  「サスケ。妄想だよ。しかも、『ボクの』妄想だ」
  「妄想でも許さない。カカシは『俺の』ものだ」
隊長が、軽く手を組む。
げっ・・・・・木遁?
  「望むところだ」
サスケも、右手を肩のところまであげた。チャクラが手に集中する。
  「この間は、邪魔が入って仕留めそこなったからな」
  「ボクの本気が出ない前で良かったよ」
おいおいおい・・・・・・・勘弁してくれよ。なんなんだよ、この人たちはよ!!!
俺はとりあえず、サスケを引き留める。
  「サスケ!!隊長相手に、影分身じゃ無理だって!!」
サスケが、こっちを見ないで言う。
  「俺がオリジナルだ」
へ???
  「突っ込まれたら面倒だから嘘をついたが、本当は俺が本体だ」
なに、その嘘!!
  「お、お前・・・・・影分身は今、なにやってんだよ?」
  「さあな。ジャンプ読んだら、なんか兄貴と絡んでたな」

サスケーーーーーーーっ!!!!

そっちが、本分だろうがよ!!
そっちがお前の究極の目的だ!!!
  「だって、木ノ葉に戻ったら、なにがあるかわからないだろう?」
なにがって、何??
  「ほら、カカシとさ・・・・偶然出会って・・・とかさ(照)」
  「影分身の経験やスキルは、本体と統合されるってば」
  「知ってるよ。でも、記憶だけじゃダメだ。じかにカカシを口説きたい。じかに、カカシの肌に触れたい・・・・」
やっべ。
またスイッチ入ったぞ、この男。目を閉じやがった。
  「嫌がるカカシをなだめて、いっぱいキスしたい。後ろも、もう、いやってほどしつこく舐めてあいつから、欲しがらせたい。俺は、優しく指でソコをほぐして、俺のコレを」

 「そこまでだっ!!!」

サクラちゃんが耳を塞いで悲鳴を上げた。
今度は、ヤマト隊長がマジギレしていた。
このまま延々続くってば?
俺はサクラちゃんを見る。
サクラちゃんも俺を見て、肩をすくめた。
  「どうする?この二人・・・・」
サクラちゃんが俺の手を取って、教室の外に連れ出した。なんだか、暖かいサクラちゃんの手にホッとする。
  「ほっといたらやばくね?」
  「さあ?いいんじゃない?」
俺は、もの凄い音と振動を発している夜の教室を振り返ったが、サクラちゃんに促されて、アカデミーを出た。
どうかなったって、責任は隊長が持てばいいや。



もう夜も遅い。
サクラちゃんも、そりゃ無敵とはいえ、女の子。送ってやらなきゃな。
  「大丈夫かな、サスケ・・・・と、隊長」
サクラちゃんは星空を見上げて、笑っている。
  「心配性ね、ナルト」
  「だってさあ・・・」
俺は、見たよ。あいつら、千鳥と木遁で、ガチンコだよ。馬鹿だよ、ホントに。
  「ナルトはさ、もう少し、信頼してあげてもいいんじゃない?」
  「はあ?あの二人を?」
サクラちゃんが頷く。
  「でも、信用しろって言ったって・・・・」
サクラちゃんが、俺の肩をつついた。
  「心配性すぎるぅ~。ま、それでこそ、火影よね!!(笑)」
あ、私はここでいいから、と、サクラちゃんが手を振って、通りを駆けていく。
その髪をなびかせて行く可憐な様は、カカシ先生の下半身をを解剖するような妄想をする子には全然見えなくて。
俺も手を振って、その後ろ姿を見送った。



あれから数日後。
数日の任務から戻った俺は、サクラちゃんに、昼食に誘われていた。
アカデミーの職員用の食堂で、今日のおすすめ定食を前に、サクラちゃんを待つ。
昼の優しい日差しに、日常の憂さは飛んでいくようだった。
と、一際元気な女性がやってくる。
俺の大好きな、サクラちゃんだ。
  「あ、ごめん、待った?」
  「いや、今来たとこ」
サクラちゃんも、今日のおすすめ定食を運んできた。
破壊されたはずのあの教室も、次の日には、何も無かったかのように無傷だったとサクラちゃんが言う。
  「木遁だな」
  「木遁よ」
二人で顔を見合わせて笑った。
  「それでね、議事録ができたから、持ってきたの」
ぶっ!!!
俺は、お茶を吹き出しそうになった。
あの集まりの議事録か?
  「熱心だね~・・・・・感心するってば」
  「私とみんなの大切な時間の記録だもの。がんばるわよ」
サクラちゃんが、鞄から一冊の冊子を取り出した。
  「これ?」
  「そう」
白い表紙に、大きく『妄想自慢』と書かれていた。ちゃんと製本してある。
  「また売るの?」
  「当たり前じゃない!!ファンタジーは、みんなの明日への活力なのよ」
へ?ファンタジー??
  「どう考えても、エロだってば」
  「ま、見解の違いよね」
その解釈、大胆だよ、サクラちゃん。
  「でも、あんな終わり方になって、残念だったね」
  「そうね・・・・」
サスケは、また、行ってしまったんだろう・・・・・
ってか、エロ会議に集まるだけの労力と努力を、あいつはどう考えているんだろう。それも、これもカカシ先生への歪んだ愛ゆえなんだよね。そりゃ、俺だって、カカシ先生のことは好きだし、泣かしてみたいし、裸にして犯してやりたいとか、思っちゃう。それって、半分はカカシ先生の存在そのもののせいだと思うよ。木の葉の良心である俺すらそうなんだからね。でも、それを差し引いても、サスケの欲望は、底知れないよ。マジ・・・怖い。
と、サクラちゃんが、微笑む。
  「でも、あのあと、ヤマト隊長が来てね・・・・」
  「隊長が?」
  「うん」
・・・・・そうだった。
俺は脱力する。
隊長も、今回、変態度アップだってば。
あんなふうにマジギレした隊長、初めて見たよ。隊長こそ年上のくせに大人げないよな。サスケのただのプチ妄想で、あんなに怒ることないし。恐怖の支配どころじゃないよね。ワガママな支配だよ、まったく。
  「隊長がなんだってばよ?」
サクラちゃんが、『妄想自慢』を指し示す。
  「読んでくれればわかると思うわ」
俺は議事録を持ったまま、サクラちゃんを見つめる。でも、サクラちゃんは、「ごちそうさま」と言うや立ち上がって、「じゃ、またね、ナルト」と、行ってしまった。


俺は、議事録を開いて読み始める。
食堂にいた人は、次々に午後の仕事へと出て行く。
窓から差し込む日差しが徐々に傾いて、いつの間にか、俺は、ガランとした食堂で一人、議事録を読み続けていた・・・・・・