妄想自慢 3


サスケが話し終わった。
開いた窓から、外の心地いい空気が静かに入ってくる。
俺はちょっと、サスケの話に引き込まれて、すぐに反応できなかった。
サスケ、忍術では負ける気がしないが、こっちの方面じゃ、俺、完敗だな。
なるほど、妄想自慢だよ・・・・・・
あ、俺、納得しちゃった・・・・
俺は、俺よりボーっとしているサスケに話しかける。
  「そんなに好きなんだな、カカシ先生のこと」
サスケは、まだ自分の世界に入っている。
おいおい・・・・涙ぐんでるよ。カカシ先生も、さぞうれしいことだろう・・・・・・うれしいかな?
  「腕を上げたわね」
サクラちゃんが窓まで歩き、暗い窓を背に立つ。
穏やかな風に吹かれて、サクラちゃんの髪が揺れた。
  「妄想が、脳内現実にまで昇華されている・・・」
  「脳内・・現実?」
  「そう。いい?これはね、」
あ、やばい。俺の脳みそオーバーフロー・・・・

(以下サクラまくし立てる)
幻術も扱うんだから、少しは脳のことも学んできたわよね?!いい?脳ってのは、ある意味お粗末な器官なのよ。一度ファイルとして保存してしまえば、拡張子なんかで区別しておかない限り、リアルかフィクションか判別がつかなくなるのよ。本人には、経験という別ファイルもあるから、そこに照らして区別してるけど、そこに他人が、アクセスしても、同包ファイルとしての「経験」がなければ、リアルかフィクションか区別のつけようがないわ。たまに本人でも、ファイル管理が不十分で突っ走る輩がいるけどね。ストーカーってやつだけど。サスケくんの妄想は、そのぎりぎりをいってるわ!!

・・・・・・・・
おいおいおい、凄い事になってきたぞ。
つまりあれか、サスケはストーカーの素質十分ってことかい?
いいのか、単純に喜んで?
それにしても、わかるようなわからないような微妙な例えだな。
っていうか、全部、筆者のねつ造なので、読者様は、信じませんように!!
脳の仕組みなんて知りません、この人。
  「さ、次は、ナルトね」
ああ、わかっている。
容赦もハンデもなく、あっさりと俺の番だ。
妄想の横綱、サクラちゃんは、当然トリ。
俺は必死で、脳みそを引っ掻き回す。
全くの創作は、俺には無理なので、何回かお邪魔したことのあるカカシ先生んちを思い浮かべた。
今のサスケの話にも触発されたし、ちょっと弱っちい先生がいいな・・・・
よし、
  「ナルト、火影候補、行きます!!」