妄想会議 3




窓際まで、カカシを追い詰める。
焼けるようにどぎつく色づいた窓枠は、触れると氷のように冷たかった。
ピタと背を窓に着けたカカシも、衣服越しにその温度を感じたに違いない。
微かに身体を震わせた。
無意識に、俺を牽制しようと出された左の手首を、力を込めて握りしめた。
  「サスケ」
それはただ言っただけ。吐く息に音が乗っただけ。なんの意志も無い。
  「安いんだろ、アンタの裸」
言って、その顔を下から見上げる。
窓から射すオレンジの逆光で、銀髪がオレンジに染まり、カカシの表情は暗い。
  「安いよ」
その暗い顔が言う。声から感情を読み取ることはできなかった。
  「じゃあ、脱げ」
下から見る綺麗に整った顔は、覆面をしているときより酷く幼く見えて、サスケは心臓の辺りがキクンと痛むのを感じた。
相手は大人なのに、自分を楽々殺せるくらい強い上忍なのに、自分の方が悪いような罪悪感。
もしかしたら、この状況をも、誘導されたものではないと誰が言える?
  「悪いのはアンタだ」
カカシが目を瞬いた。
泣いているんだろうか・・・・
  「わかったよ」
カカシが喉の奥でそう言った。捕まれた左腕を振り払う。
  「見たきゃ見ろよ。別に減らないしね」
俺を窓際に置いたまま、カカシは保管庫の中央へ歩く。
その足元に夕日が薄く延びて、カカシの全身が綺麗にオレンジに染まる。
ちょっとだけ、何かを考えているようだったが、いきなりクルりとサスケに背を向けると上着を脱ぎ捨てた。
アンダーも脱ぎ捨て、足元に落とす。
  「!」
広い背中は傷だらけではあったが、とても美しく、サスケは息を呑んだ。
カカシは上だけ脱いでしまうと、肩越しにサスケを見る。夕日がカカシの目に入り、眩しそうに目を細める。
  「全部見たいの?」
  「ったりめーだろ」
  「スケベだなぁ、お前」
  「なんだよ、今更。他の連中にだって見せてんだろ?」
カカシは憮然とした感じで、黙ってしまう。それでもノロノロと、こちらに背を向けたまま下半身を脱ぎ始めた。
引き締まった尻が現れる。滑らかな陰影がついたそれは、サスケの喉を渇かした。
  「もしかして、俺のチンポとかも見たいわけ?」
見たいどころか、舐めたり吸ったりしたい・・・・と思ったが、黙ったままうなづいた。
が、カカシはそのままそこに座りこむ。かすかにため息が聞こえた。
だからって、どうできる?このまま行っちまうしかないだろう。
  「なんだよ、こっち向けよ、見たいって言ってんだろ」
  「もう少し年上に敬意払えよ」
  「ああ?」
  「お前がこっちに来い」
カッチ~ン・・・・
フルチンで、なんでそんなに偉そうなんだ!!
でもいい。
そこに行きさえすればいいんだな。
サスケは短く息を吐くとカカシの方に足を向けた。

カカシの横に立つ。カカシは上体を後ろに倒し、両腕に体重をあずけている。
夕日をさえぎられて、カカシがサスケを仰ぎ見た。
銀髪が、衣服を脱いだ時のままに乱れ、先ほどの幼い印象のままだ。
  『これがカカシか?』
カカシに見えない。
カカシから、忍者の属性すべてを取り去ったら、そこにはただの美しい青年がいるだけだ。
他の忍より、フル装備にこだわるカカシの心情がわかる気がした。
突っ立ったままのサスケに、カカシが言う。
  「見ろよ」
  「・・・・」
  「見ていいよ、サスケ」
サスケは、カカシの正面に回るとそこに座り込んだ。カカシは、サスケに考える間を与えない。
  「ほら、俺の」
カカシの身体に陰になって、股間が見える。
サスケが反応する前に、あっさり、立てていた右足を外側に倒す。色の濃い銀髪に根元を覆われた生殖器が見えた。
  「でかい?」
馬鹿なセリフの割には、表情の無い声だ。
  「さあな」
  「お前のよりはでかいだろ?」
  「馬鹿じゃねえの、アンタ。年下と比べて喜ぶなよ」
サスケの左手が、倒れたカカシの右の太腿の上に乗る。
  「なに・・?」
カカシがまともにサスケを見た。
  「触りたい・・」
  「なんだって??」
さすがにカカシが気色ばむ。
  「お前、おかしいんじゃないの?ストリップくらいなら遊びで済むけど」
  「おかしいのはアンタだ。部下を挑発して」
  「貴様・・」
カカシが奥歯を噛む。
サスケの手がすっと太腿の上を滑った。カカシが身震いする。
  「もっと足ひろげろよ」
  「サスケ」
  「好きなんだ」
  「・・・・」
  「理由になるだろ?」
カカシはその瞳に怒りの感情を込めてサスケを見た。
怒りじゃないかもしれない。
ただ、それと間違うような激情だったことは確かだった。



2008.02.03.

やっと、ここまでこぎつけた・・・もちろん続きます・・