妄想会議 4




膝をついたまま、カカシの方に上体を倒す。
カカシは物凄く逡巡していて、俺のキスを受け入れるかどうか、俺の唇がカカシのにくっつくまで迷っていた。
唇が触れる。
冷えた薄い皮の下に、上司としてのカカシを裏切る血の熱さを感じる。
思わず、貪るようにその唇を吸う。
カカシの頭が後ろに傾き、俺は、逃すまいとしてその頭部を支える。
柔らかい銀髪が指に絡まり、上背の割りに小振りで形良い頭蓋に、カカシの均整のとれた立ち姿を思い出した。
  「好きだ」
キスしながら、相手の呼気を吸い込んで、訴える。
  「好きだ」
好きだ、好きだ、好きだ・・・・・
カカシはキスに応えながら、でも、動かない上体は、消極的に俺を拒否していた。
  「だからイヤなんだ・・」
カカシは息を継ぎながら言う。
  「本気だなんて・・・っ」
その先を言わせない。きつく吸う。
  『馬鹿だ、お前』
多分、そう続けたろうそのセリフごと吸い尽くす。
唇を離す。
血色の悪いカカシの顔は、唇とその周りだけ、血の色を浮き上がらせて、化粧したように扇情的だった。
目を閉じている。
俺を拒絶して、でも、その脳みそは、俺のことで一杯だ。
  「まだ他に選択肢があると思ってんのか?」
カカシの髪を掴む手に力を入れる。カカシが目を開ける。
  「お前・・・酷いよ」
  「酷いのは自分だろ」
俺のセリフに逆らえないカカシの目が、整った形のまま歪む。霞むように色づく目の縁がその証だ。
  「キスして」
至近距離で、カカシにねだる。
諦めたように俺の唇にちょっと視線を落とし、また見上げる。
・・・今のカカシの気持ちが知りたい。
・・・そんな目の向こうが見たい。
俺の手がゆっくりカカシを解放し、それを追うように、とうとう、カカシが口付けてきた。



もう保管庫はだいぶ暗い。
さっきまで、カカシの姿を彩色していた夕日も、窓の外の植え込みに完全に遮られてしまった。
キスはかなり長く続き、そこにウェイト置かない俺の若さはちょっと焦りを感じた。
一度唇を離そうとして、俺の視界にカカシの股間が入る。
カカシが勃起していた。
俺はびっくりして、完全にカカシから唇を離した。
  「ぁ・・・」
急に離れた俺に、カカシが小さく声を上げる。俺の視線の行方を知って、一寸だけ、左の口角を上げただけだった。勃っているチンポを隠そうともしない。
俺の手が何のアクションも起こさないことを確認して、カカシは自分でそれを掴んだ。
そのとき初めて、俺も勃っていることに気づいた。荒いでいる息にも気づく。
キスだけで、俺は興奮していた、カカシみたいに。




・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・



う・・・さっきまでノリノリで ( ノリすぎでちょっと怖かった ) 聞いていたサクラちゃんの機嫌が悪くなっていく。
何を怒っているのかわからない・・・・

  「ちょっと、サスケくん!!!」

  「!!う・・・な、なんだ?」
  「なんか違うな~~」
こ・・こえぇ・・・
  「何が違うんだ?ちゃんとカカシを脱がしたし、チンポまで晒させたぞ」
サスケ、完全に戸惑ってる・・・
  「そこはいいわよ、グッジョブよ」
  「じゃあ・・・???」
サクラちゃんは、これから補習でもしようかという勢いの超真面目な顔で、俺たちを見回した。
  「いい?ナルトも聞いておくのよ!!」
  「う・・・・はい・・」
  「初心に帰れってことよ、私が言いたいのは」
初・・初心って・・・
  「妄想なのよ、これは!!」
も・・・妄想に初心という概念・・・俺、ついていけるかなぁ・・・
サクラちゃんは、キッとサスケを見る。眼力に押されてサスケのチャクラが動揺した。
  「妄想・・・だよ」
  「でしょ?なのに、サスケくんは、恋愛してる」
  「え??」
  「カカシ先生と恋愛しちゃってるじゃないの!!」

ああ、もうとまらない・・・・

(以下まくし立てる)
そりゃ、恋愛自体、妄想パラダイスよ。必要条件でもあるわ。でもね、そんな甘い妄想、いまどきお子ちゃまだって日常茶飯事なのよ!!私たちの一体感はエロでしょう??大人のエロスなのよ!!妄想の中でしか出来ないことがあるでしょう!!思いっきりカカシ先生を泣かして、イヤだって言うのを無理に開かせなきゃだめじゃないの!!恋愛して、優しく愛し合ったら、楽しいのはサスケくんだけじゃない!!

カカシ先生の裸って時点で、十分、非現実的だと思ったが、火に油を注ぎそうだったので、黙っていた。
要約すれば、サスケはロマンチスト、サクラちゃんは、中身おっさんってことで・・・いいかな?
俺は、もう、かなり前から、ついていけてないから・・・。




2008.02.04.

誰かサクラを止めて・・・・この子、勝手にしゃべります。