妄想会議 5




さっきから長い沈黙が午後の教室を支配している。
サスケの妄想が止まってしまったのだ。
かなり長い時間、俺とサクラちゃんは放置され、一人うんうん唸っているサスケを見守っていた。
  「どうしたってば、サスケ?」
  「ん・・・あ、ああ・・・」
  「もう、ギブアップ?」
サクラちゃんが冷ややかな目で、サスケに振る。
ひえぇ~・・・妄想って過酷なんだなぁ~。あのサスケがギブしそうなんだぜ。
  「くそっ・・・ダメだ・・・」
  「ギブアップね」
  「なんだよ、サスケ、イイとこまでいったのに?」
  「ダメなんだよ。どうしてもカカシが・・・」
  「先生がどうしたってば?」
サスケの耳が真っ赤になる。あそこまで妄想した男にはありえない羞恥の表現だ。
  「カカシが愛おしくなってしまって・・・」
  「は?」
  「いくら妄想でも、犯すなんてできねえ・・・」
うおおお・・・すげえ。さすが、サスケだ。それでこそ男だよ。
カミングアウトしたサスケは、ふーっと息をつく。やっと重責から解放されたんだな、おめでとう!!
そして見るからにリラックスした様子で、語りだした。
  「嫌がってるのを、いじめてさ、『ホントは欲しいんだろ』とか言ってその可愛い尻にねじ込んだり、生徒に犯られて感じてんのか、豚め!!なんて言ってガンガン突きまくるなんて出来ねぇし、そんなこと、いくら妄想とは言え、とっても言えねぇよ」
・・・・・・十分、言ってるよ、サスケ。
微妙に壊れたまま、サスケのチャレンジが終わる。
と、サクラちゃんが、俺をグッと睨む。
  「ナルト。二番目で様子見、なんて甘いのよ?」

キャーーーーッ!!

のっけから釘ささったよ!!!
次・・・・もしかして、俺???
  「さ、今度はナルトの妄想、聞こうじゃないの」
・・・・・・
それはまるで死刑の宣告のようだった。
あのむっつりスケベのサスケですら、完走できなかった過酷な道だぞ。この純情な俺の、どこを探せばエロい妄想が出てくるっていうんだ!!
俺のは、ガキっぽい無邪気なエッチだ。ここに集う連帯の核をなす ( つまり、サクラちゃんの要求レベルの ) エロスとか言うヤツとは全然違うよ、きっと!!
  「確かに、ナルトには取っ付きづらい課題かもね」
そう言ってくれるサクラちゃんだが・・・・っつーか、課題ってなんだ、課題って!!!
とんでもねぇ、どんどんスケールアップする。ただの楽しい妄想だった頃が懐かしい。今に、課題から試験にレベルアップするぜ。気を抜けば任務、うっかりすれば使命だ。
最終的には、それのために生きているってとこまでいっちまうだろうな・・・・・
オタクは文化だ・・・・




・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・



ナルトの目が遠いところを見ている。
もう、妄想に没入か。さすが天然系、切り替えが早い。
それにしても、お前が妄想するときに、そんな切ない顔をするなんてな。
知らなかったぜ・・・・(サスケ、勘違い)
  「確かにナルトには取っ付きづらいって言ったわ」
サクラが、ナルトにレクチャーしている。ナルトの遠い目が、フラフラと行きつ戻りつしている。
  「でも、取っ付きづらいだけで、できないと言ってるわけではないわ」
  「え?そうなの?」
ナルトが藁をもつかむってな風情で食いついた。
  「アンタみたいな出来の悪いのが案外・・・って事があるのよ」
  「で・・・出来・・・・」
サクラの容赦ないナイフみたいなフレーズが、ナルトを切り裂く。
  「要はきっかけなのよね」
もしかして、こいつ、凄いんじゃないか?
俺はサクラを見る。
ルックスは、いつもの可愛いサクラだ。なんだか腹の底が冷える・・・・・
  「きっかけって・・・どうすればいいってばよ?」
恐ろしいサクラの前にいれば、ナルト、お前も無垢すぎて十分愛おしいぜ。
  「順序よく行きましょうよ」
  「うん」
完全にサクラのペース。
  「まず・・・カカシ先生のこと、好き?」
  「う~ん・・・初めは先生として尊敬してたけど、サスケの話聞いてたらムズムズしてきた・・・」
  「興味が湧いてきた・・ってとこね」
  「ああ」
  「じゃあ、あるはずよ」
  「なにが?」
  「知りたいって気持ちよ。先生の何が知りたい?」
ナルトの表情がまた飛んでいく。
知りたい、か。
俺なら、カカシのイクときの顔が知りたい、つまり見たい。
俺に揺すられて、痛いんだか気持ちいいのかわからないままに、可愛いチンポおっ勃てて、
  「はぁ・・あっ・・・んっ」
とか呻いて、
  「待って!!・・あ、あ、いい・・い、いくっ!!・・」
とか俺の下で小さく叫んで、その綺麗な顔、泣きそうに歪ませて、俺がグッと腰を押し付けると・・・
  「サスケくん、聞いてるの?!」
おっと・・・
プレッシャーがないと、妄想ってサクサクいくもんだな。
  「先生の隙が知りたいってば」
  「すき?」
  「ライクか?」
  「違うってばよ。隙がある、とかの隙。油断してるとことか」
ふん。俺の知りたい内容とはえらく違ったもんだな。サクラも感心したようにうなづく。
  「意外性ってホントだわね。なかなか渋いところ突くじゃない」
  「そう?!!」
  「侮れないわ」
妄想がテーマとは思えない会話運びになっている。
  「でも、それが、サクラちゃんのいうエロスになるかな?」
  「ばっかじゃないの、ナルト!!『隙』だなんて、それだけでエロスよ!!」
そろそろ、ナルトの脳がパンクだ。目を白黒させている。
  「人間が一番油断するときっていつ?」
それは俺が答えてやろう。
  「そうだな、寝てるとき、食ってるとき、便所ん中、風呂の中、アレの最中・・・」
  「そんなとこね。ほら、選びほうだいじゃないの、ナルト」
カカシが便所でがんばってるなんて、ちょっと可愛い感じもするが、そこまでマニアックだと、ホントにアダルトサイトになってしまう。
でも、いいかも・・・・。たっぷりエネマしてやって・・・
  「サ・・サスケ・・・も、ダメ・・」
なんて言われた日にゃ、スカトロだって厭わない。
  「あ・・ううん・・・なんか、出来そうだってば」
  「どれでいく?」
俺の低レベルな妄想をよそに、ナルトはがんばっているみたいだな。
  「お風呂がいいな」
ふ~ん・・・露天とか言っちゃわないとこが逆にそそるな。
  「いいんじゃない?王道よ」
サクラに押されて、ナルトが語りだす。
がんばれよ、火影候補!!・・・・・ちょっと里の未来が心配・・・




2008.02.04.

やっぱり、サスケが一番・・・・・・