マーブル 3




普段笑わねえ奴が笑うと、本当に詐欺くさくなる。
サイのはまさしくそれみたいだってば。
「君のは何かな?」
「盗撮・・・じゃない、盗描写です!」
おい・・・・
「それって犯罪じゃないのか?」
俺の問いかけに、
「忍者が何をいってんだか(笑)」
と一笑に付された。
確かに、盗聴、盗撮に限らず、戦闘による殺人、幻術、暗殺・・・・そんなものは、俺たちの日常だってばよ。でも、目的が違うよね・・・?
「まあまあ、ナルト。俺も、違法建築に手を染めたことがあるぞ」
って隊長~、自慢する事じゃないってば。
「まあ、隊長、違法建築って?」
サクラちゃん、煽らないで!!
「消防法から外れたラブホだね。断れない筋から頼まれてさ~。作っちゃいけない所に滑り台」
おい!!
なんて俗っぽい人なんだ、アンタ!!!ゲンメツですっ!!
「じゃあ、隊長、これ」
「おお、ありがとう!!」
サイが隊長にスケッチブックを手渡す。
そのページを開いた隊長は、グワッと叫ぶとのけぞった。
俺とサクラちゃんが覗き込む。
うわ~~・・・・
確かに、カカシ先生の裸体だわ。
ただし、上半身の。
それが、リアルに水墨画で描かれている。しかも、あまりに緻密で、写真のようにすら見える。
「す・・・凄いな、サイ・・・」
「まあ、普通です」
サイはしれっとして、しつこく、焼きそばを食っている。
「いや、凄いよ!!この乳首の質感っていうの?もう、リアル過ぎて困るよな、はははは・・・」
別に困りませんが?
引け気味のサクラちゃんと俺にひるむことなく、隊長は夢見る瞳で絵をガン見したまま続ける・・・・
「ほら、モノクロなのに、色が見えそうだろ!!きっと薄めのピンクだよねえ?」
「「はあ・・・」」>俺&サクラちゃん
「きっと舐めて欲しいと思っている」
乳首が?
「被写体の内側まで、表現できている!!すばらしい技術だ」
なに、その勝手な、被写体は舐めて欲しいと思っているという決めつけ!!
「ここまで、乳首を表現できるなんて、もう、君は凄い!!」
そこまで乳首で妄想できるアンタの方が凄い!!
と、おもった俺の心が顔に出たらしく、隊長は、キッと俺をにらむと、
「ナルト~、誰の乳首でもいいわけじゃないんだ」
「は・・・ああ・・・はい」
「カカシさんの乳首限定だよ!!僕のセンサーはね!」
おいおいおいおい・・・・
なんだよ、乳首センサー?[カカシ先生限定]
誕生日に脳みそ沸いて、どうすんだよ、この人!!
と、そのときサクラちゃんが、
「ああ、隊長、言っちゃいましたね?」
と意味ありげに宣(のたま)った。
ああ、そうだ、と俺も頷く。
そう、隊長は言っちまった。
『カカシさんの乳首』って・・・・・・
俺は、予定調和のように未使用の食器が置かれた空席を見る。
『絶対、隊長、彼の何かに引っかかるような事、口走るはずよ!!』
と予測したサクラちゃんの思惑通り。
「凝りねえ奴だな(笑)」
というセリフと共に、サスケが縁側から登場した。
「サ、サスケっ!!」
隊長がびっくりして叫ぶが、サスケが空いた席に着いた途端、当たった宝くじの交換期限が昨日だったみたいに、げっそりしたのには笑った。そこまで素直で、よく今まで生きて来れましたね、隊長!
本当は、ここでカカシ先生が登場!!みたいな、お約束なサプライズ、ありませんから。
さっそく、焼きそばに手を出すサスケに、言う。
「サスケ、お前も焼きそばかよ?」
「うるせーな。『も』ってなんだよ?」
「・・・まあ聞くまでもないが、オリジナルだよな?」
「言うまでもない」
なに堂々としてんの、こいつ。お前のせいで、原作、滅茶苦茶だってばよ!!
「なんで君まで来るんだ?」
「ヤマト、お前、カカシの乳首とか言ったろ?何度も言ってるが、お前らがカカシで馬鹿なことをやらかしそうなときには、俺のチャクラが反応するようにしてるんだよ」
「じゃあ、影分身でいいだろう?」>サイ
「フン。カカシの事は、常に全力だ」
ああ、熱い・・・・てか、うっとうしいんだってばよっ!!!お前ら!!
「しかし、サイ、お前の絵は凄いな。どうやって覗いた?」
サスケが隊長が持つスケッチブックを、破けそうな勢いで引っ張って見ている。
「破ける!!サスケ!!」
隊長必死。
「ああ、別に僕が覗いたわけじゃないよ」
「え?じゃあ、盗撮の模写?それなら、盗撮写真をちょうだいよ。描き写すなんて面倒なこと」
隊長、なんか紙一重だねえ~
「盗撮でもありません。チャクラ筆を使いました」
「「「チャクラ筆ぇ~?」」」
なにそれ?



2009.08.10.