マーブル 5




「な・・・なんだか、動悸が激しいのは・・・どうしてかな?」
ヤマト隊長が胸を抑えて、過呼吸気味に言う。
本当に暗部だったのか、アンタ?
まあ、みんなからの刺激的なプレゼントと、その滅茶苦茶な内容に、無意識下で隊長は翻弄されているんだろうけど。
「喜びすぎなんですよ!!隊長ってば!こどもみたい!!」
とサクラちゃんがあさってな指摘をする。
「た、たぶんそうだね・・・・ゴホッ・・ゴホッ・・・うれしい・・」
・・・痛々しいってばよ。
「プレゼント、ナルトがまだだよね」
おっとサイ。そうだったな。
「そうだ!!ナルトっ!!き、君のはなんだい??!!」
ちょっと、隊長、そんなにがっつかないでよ。動悸息切れの人には見えないよ。
恐ろしいなあ、カカシ先生の引力は・・・・
「じゃあ、・・これ!ヤマト隊長、おめでとうってば」
「ありがとう・・・ナルト!!」
俺が手渡したプレゼントをサスケが横から盗み見る。
「おい、ナルト、なんだよ、それ!!リボンなんかつけちまって」
いや、それが普通だろ?
重さウン10㎏のダンボールとか、裸体のスケッチとか、そっちが普通じゃないから。
「なにかなあ?」
隊長が、もの凄い期待を込めた目を俺に向ける。
「いや、・・・・何って・・・」
「なによ、ナルト!!」
サクラちゃんまで俺を煽る。
「え・・その、・・・・写真立て・・・」
「え?ナルト、ワンモア?」
気持ち悪い、隊長・・・・
「だから・・・・写真立て」
「悪い、ナルト、何回聞いても写真立てって聞こえるんだ」
「その写真立て、ですが」
「「「「えええーーーーっ???」」」」
そ・・・そんなに驚くかな?
「ナルト・・・・写真立てって・・・・あのごく普通の写真立てかい?」
他にどんな「写真立て」があるというんだろう?
「そうだけど・・・」
「ああ、そうか、もしかして・・・」
とサイ。
「カカシさんのエロい写真つきとか?」
「は?いや、買ったままの、花の写真が入ってる・・・だけ」
明らかに隊長の空気が変わった。落ち込んでガッカリするどころか、怒っているような感じすらする。
もはや逆恨みですらない・・・・なんなの、これ?
サスケが笑いながら、
「さすがナルトだ。少しは空気読めよ(笑)」
と俺を小突く。
っていうかさ、俺のがふつーだろうだよっ!!!
さーーーっと潮が引くように、なんだか盛り上がりの空気もひいて・・・・
あのなあ~、俺の方がドン引きだってばよ!!!
「わかったってば。今度、カカシ先生の写真、撮ってくるよ」
「当たり前じゃだめだ。盗撮だよ、盗撮!!」
と、隊長即応。
なんだよ、その上から目線!!
しかも、誕生日のプレゼントに、盗撮写真って・・・・
隊長、もう、何かに毒されましたね・・・・・
「おい、ヤマト!!」
サスケが隊長を呼ぶ。
「なんだい?」
サスケがなんか懐をゴソゴソやってる。え?プレゼント、あるの・・・?
「あら、サスケ君、アナタは、隊長の不穏な発言にチャクラが反応しての登場でしょ?」
「ああ、そうだ」
「私たちが隊長の誕生日で集まってるなんて知らなかったでしょ?」
「え?誕生日だったの?」
おい!!
今までの流れ無視かよ!!お前こそ、空気読め!!
「だって、隊長にプレゼント渡そうとしてるんでしょ?」
「はあ?プレゼント?なんで俺がこんな奴に!!!」
サスケはムッとして、懐からクシャクシャになった紙を取り出した。
「こっちに来る途中で、木ノ葉の事務から頼まれただけだ」
ちょっと待て!!
木ノ葉の事務ってなんだよ?なに、接触しちゃってんの???
お前、重要指名手配されてんだぞ?
「サスケ、お前・・・・」
「フン。俺はしょっちゅう、お前らのエロいチャクラに反応して里に出入りしているからな」
「・・・・・・」
「俺の出入りは、公然の秘密になっているらしい」
ぶっ!!!>吹き出した音
・・・・あのなあ・・・・
そこまで爽やかに原作を無視すんなよ、な?
「んで、これをヤマトに渡してくれって」
集まるメンバーまで把握されてんじゃねえか。
木ノ葉・・・・意外とやるなあ・・・
サスケが取り出したクシャクシャの紙を、隊長が受け取る。
「なんだよ、こんなにグシャグシャに・・・・」
紙を広げて、それを読んだ隊長は、いきなり
「うおおおおおーーー!!」
と叫んで、畳の上を転げ回る。
「どうしたってば、隊長!!」
俺たちは、一斉に、その紙を見た。
そこにはこう書いてあった。


『ヤマト様

公共の場に私物の放置が目立っております。

速やかに撤去してください。

木ノ葉総務課より』


・・・・・・すごい誕生日だってばよ。




2009.08.13.

続きます