13 無理矢理「舐めさせる」 [ツナカカ]

注意 : サクカカ前提のツナカカです



たまに、そうごくたまに。
五代目に誘われることがある。

そんな時、自分にも権力に媚びる人間らしい一面があることを、俺は思い知って、でも、かといってそのことに腐るほど、青くもなかった。
いや、もっと単純に、五代目には尻尾を振っていた。
理由は単純。

よかったからだ。

サクラと懇意にしていることを、五代目に知られていることは、わかっていた。
時折、サクラが見せる言動で、それと知れた。
サクラは賢い。
黙認されているという安全圏でしか、俺とはこうはならなかったろうという、多分正しい予想はしている。
でもまあ、ぶっちゃけてしまえば、俺の筆下ろしは綱手様だし。
最初は入れさせてくれたけど、やがて俺が交合に慣れると、それ以来フツ-からは遠ざかってしまった。
もちろん綱手様が望んだからだが、俺もそれを望んだ。

その頃には、人が俺の外観から連想する通りの私生活を送っていたが、誰と付き合っても、俺は必ず綱手様の元に戻るのが常だった。
彼女との身体の相性は、もうこれ以上ないほどバッチリだった。
他の相手は、まあ、言ってみればただの小休止で、それは、箸休めにつまむ、軽い何か、みたいなもの。
サクラとの関係がスムーズに進行していた時、俺は「唯一」にまで昇格させていたサクラの存在すら、五代目とのセックスの前には色を失うことを、ようやく理解し始めていた。





  「んん?よくなってきたようだね?」
俺は自分のそこが、もうガバガバになってしまったかのように感じていたが、そして、それが箸休めの相手なら、幻滅させるような有様だったろうけど、綱手様は違う。
ぶっとい彼女自身の先から、さらになんかが出ていて、ギリギリという質量に摩擦されたしびれるような感覚の中に、的確に俺のイイところを撫でるように刺激するいやらしさで、俺を圧倒する。
返事も出来ず呻く俺の口元に、そこは女性らしい柔らかいキスをして、俺を見下ろす。
快感に振り回されている顔をじっくり見られているのを感じるが、綱手様は、その視線に純粋に「欲情」しかにじませないから、俺は安心してよがる。
  「んん~・・・・いいよ、カカシ」
荒い呼吸も、でも鼻から抜けるそれは、優しい女性のもので、俺は倒錯しながら、抉られている部分に意識を集中する。ぐんっと音がしそうに腰を押し付けられて、でも俺の神経は飽きもせず反応し続けた。
  「は、あ、・・・綱手・・さま・・」
俺の喘ぐ声に、間髪いれず
  「可愛い」
とつぶやくと、挿入のリズムを変えてきて、その滑らかな変換に、俺は身体が勝手に収縮するのを感じた。
  「あ、ああ、あ、やあ・・・」
いきそうになって俺は呼吸を乱したが、いきなりガンッと衝撃が来て、さっきまでの状態に引き戻されていた。
  「あ・・・んっ・・・?」
  「悪い」
その豊かな胸にしがみついて、見上げると、頬を染めてちょっと気まずそうな綱手様の顔だった。
  「お前をいかせたくなくて、咄嗟にチャクラを使ってしまったよ」
  「・・・・チャクラを?」
  「私だって一杯一杯なんだよ。身体でコントロールできなかったから」
  「・・・・・はあ・・・」
  「直接お前の神経、触った」
痺れる余韻に浮かんでいる俺は、理解している表情をしていなかったらしい。
急に綱手様は怒ったように言い訳し始めた。
  「あんな程度でね」
  「え?」
  「お前がイクなんて思ってなかったんだよ」
  「あ・・・・はい・・・」
  「何年私の相手をしてるんだい」
  「・・・あ、それは・・・」
  「お前がそんなに淡白だったとはね」
次々と繰り出される火影室でいつも聞いているようなキツイセリフも、挿入されたまま聞くと、かなり色っぽい睦言のようだった。我知らず眉間に皺が寄り、耳にザワザワと小さな波が走る。
  「聞いてるのかい?カカシ」
彼女がそう言うと、その身じろぎで結合部が摩擦された。
  「いっ・・・あ・・・・」
思わずもらした声に、俺の中の綱手様が、物理を度外視した膨張をする。
  「やっ、あ、ああ・・・」
もう、と綱手様が息を吐いたのは聞こえたが、それまでだった。
それは激しくて、無意識に手で彼女の身体を制してしまうくらい、俺は滅茶苦茶に揺さぶられ、かき回され続けた。快感の閾値が、ゼロになってしまったのかと思うほど、その波は激しく、
  「ホント、お前のココはスケベだよ」
と言いながら、自身の頭を指差す綱手様の呆れた姿だけ、かろうじて記憶していた。





不意にサクラが、その指を俺の前に差し出す。
  「?」
それは脂で汚れていて、においは明らかに、秋刀魚だった。
  「今日は、先生の好物を焼いたわ。わかる?」
  「ああ。わかるよ」
日の落ちるのが早くなった暗い戸外を背景に、明るい蛍光灯の下、サクラが言う。
日常から、急に非日常に引き込まれて、こんな強引さは、火影にはない。
俺は、唯々諾々とその指を舐める。
舐めながら、でも、脳裏には綱手様。
俺の鼻に、頬に、酷いときは眼窩にすら押しつけられる逞しい男根様の・・・・

舐めながら、俺はサクラの視線に気づいていたが、
気づかないフリをする。
俺に対するあらゆる疑念をすべて含んだ視線は、でも、
俺には案外、心地よかったからだ。



2010.12.01.