ハル、サカル




書類を渡すとき ちょっとだけ触れた指の先が
いつまでもほんのりと暖かい
その温度の意味がわからなくて 何度も
何度も 指先を見た


いつもどおりのすれ違いざまの挨拶も
数メートル先から 呼吸が熱くなる
やっと声を交わす距離で
汗ばむ手のひら


少しずつ そんな事件が積み重なって
今は まだ咲く気配もない桜の木の下
動悸に苛まれながら 枝越しに淡色の水色を仰ぐ
かすむ景色が 目に染みる



あ、もう、咲いてた



そう言ってカカシ先生が目の前を通る
まだ咲いてないわよ
と言い返すと
笑顔を見せて私を指した


バカね せんせい
もう そんなことで笑ったりする
子供じゃないのに


春だもん
私だって


サカルわよ・・・・



2009.04.29.

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