鳴門の案山子総受文章サイト
ちょっと時間が経った血のにおいは、とてもじゃないけど耐えられない。
吐き気がするし、目に染みるし、頭がグワンとするような物理攻撃に近い。
でも、緊張しているときは、においを認識しながらもそれはにおい以外の属性を持たないので、それが、
「自分の集中度をはかる目安なんだな、俺の場合」
というと、へえ、そう、と先生は気のない返事をする。
先生は大丈夫なの?というと、
「犬並みの嗅覚だなんて嘘(笑)」
と笑ってすましていた。
真上にある太陽は容赦なく地表を焼き、先生はブナの木陰のベンチの上。
俺は、そこにまとわりついている。
先生の膝に寝転がりたい衝動を抑え、そうすれば見えるはずの空を仰ぐ。
青い・・・
気が遠くなりそうだ・・・・
先生の穏やかな調子に、へええ・・・・じゃあさ、と俺は勢いづく。
「今、俺がどんなにおいを出してるか、わかんね?(笑)」
はあ?と先生はこっちを見て、初めて意識してくれたようだった。
「におい・・・て意識して出せるのか?」
「うん」
「・・・お前・・・・屁でもしたの?」
これだ。
先生の俺に対する認識はこの程度。
「違うよ!首辺りから・・・」
「首?」
「そ。耳の後ろっていうかさ、そこら辺から・・・」
言いながら、俺は先生に自分の耳の後ろを示す。
バカな先生は、何も考えてない人の表情で、俺の意図だけ探るみたいに、俺に顔を近づける。
「ね、・・・するだろ?」
「・・・いや、これ、ただ、お前のにおいだろ?」
うはあ・・・そんなこと言って・・・
「カカシ先生ってばエッチだな(笑)」
「はあ?お前なあ、なんだその思考回路」
先生の呆れた声がなんか喋ってる。
本当に間抜けだな、カカシ先生!
それは「先生好きだっ!!」っていうにおいなんだぞ!!
それを先生に嗅がせた!!
にやつく俺に、
「最近は暑いからな・・・」
と、また、意味不明の事を言う。
でも、俺は怒りもしない、笑ったままだ。
だって、確かに、ちょっとおかしくなってるって、俺も思うから。
青い空を仰いで、さあ、どうしようかと思う。
次に目指すは、先生の膝枕だ!!
拍手に置いていたもの。2013/01/13に下ろしました