2 過去の事例を公開し、後悔した [サスケ]


ピチャン・・・・

暗い洞窟に、時折落ちる石灰水の音が響く。
最近は移動が続き、こんな比較的安全な所では、みんなそろって寝てしまう。
オレは起き上がって、隣に寝ている重吾と水月を見る。
今夜は、感知タイプの香燐だけが、洞窟の入り口で頑張ってくれている。
今の今までオレも寝ていたが、なぜか、気分がざわついて目が覚めてしまった。

また、ピチャンと、水滴の音・・・

その、見事に空間を等間隔に刻む音は、オレを、オレ自身の内側に引っ張り込む。
なんとなく。
ナルトがオレを呼んでいるような気がした。

オレが里を抜けてから、奴はオレを里に戻すことを今の人生の目的の一つに据えているくらいだから、その感覚は、もちろん正しい。
でも、今夜は、それ以上に・・・・・
ナルトがオレになにか、気持ちのような、意志のような・・・・もっと確固とした何かを向けてきているようで。
たぶん、こういう感はあたっている。

ピチャン・・・・・

ああ、とオレは不意に思い出す。
小さな地底湖に落ちる水音は、容易に、風呂を思いださせた。

そういや、カカシと温泉に行ったことがあった・・・・・

どうして今まで忘れていたのか?
あんな強烈な経験、忘れる方がどうかしている・・・・
「でも、結局・・・」
オレは、自分が喚き散らさなくてもいい程度に、ぼかしながら思い出す。
そして、やっぱり、最後には喚きたくなって、グッと喉の奥で衝動を殺した。

「ど・・・どうしたの?サスケ?」

水月が驚いてオレを見ている。
その向こうでは、重吾もこっちを心配そうに見ていた。

「いや、なんでもない」

ぜんぜん何でもなくはない空気のまま、オレは横になった。
もう少し明るかったら、二人は盛大に赤面したオレを見ただろう。

それくらい、強烈な一夜だったのだ・・・・・

・・・・・・・・・・・

その強烈な一夜の記録がここにある・・・
タイトル「秘密」
では、どうぞ・・・・


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